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第16章 拒絶



 どうせ泣くなら、頼むからはっきり断ってくれよ。

 お前が人の頼みを断るの苦手なのは知ってるけど、でも、それは、時に人を傷つける。
最後まで嘘をつきとおせないなら、はじめからこっぴどく振ってくれたほうが、ずっとましだ。



「帰ってくれ」

「相馬……」

「帰ってくれ!」



 これ以上は無理だった。何か言いかけた彼女を大声で捻じ伏せると、彼女はびくりと体を萎縮させて、慌てて服を整えて鞄を拾って出ていった。



 彼女の足音が聞こえなくなるのを待って、俺はドアに鍵を掛け、部屋に入ってスーツのままベッドにダイブした。
着替えも風呂も食事も自慰もする気になれなかった。
エアコンをつけるのも忘れていた。
ただ何も考えたくなくて、うつ伏せで、眠りが訪れるのをひたすらに待った。


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