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第17章 顔色



 相馬と顔を合わせたら何て言うか、必死に考えて火曜日を迎えたのに、相馬は来なかった。

 聞くと、体調不良でお休みになったらしい。
心配ではあるけれど、正直、ちょっと――ほっとした。



 まだまだ暑い日が続く。
相馬の死んだような顔を思い出す。
あれでは夏バテで倒れても無理はない。
ちゃんと寝ているだろうか。
ちゃんと食べているだろうか。

……自分が元凶のくせに、心配なんて烏滸がましい。



 昨日、相馬に血が止まるほど強く握られた右手首は、少し痣になっていた。
長袖のブラウス程度では隠れなかったので、カーディガンを着るほかなかった。
今日は外回りの予定が入っていて、そこそこ屋外を歩く時間もあったので、カーディガンを着ているのは暑かったし見た目にも場違いだったけれど、仕方がなかった。
外出なしで、隣の空席を気にしながら一日を無駄にするほうがキツそうだったので、文句はなかった。



 今日こそと意気込んで出勤した水曜日も、しかし、相馬は来なかった。


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