この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
unbalance
第3章 夜道



 傘を目深にかぶって、下ばかり見ながら歩いた。
強く風が吹き付ける度に、相馬が傘を片手で押さえ込みながら、私の肩を掴む手にも力が入る。
少し痛かったけれど、文句は言えなかった。
この風の中、傘を片手でコントロールしているほうが信じられなくて、そして、ありがたかった。

 二人でくっついたままよたよた歩いていると、ふと足元が明るくなって、それで駅に着いたのを察した。
傘に雨音が当たらなくなってから、相馬が傘を下ろし、私たちはようやく顔を上げた。



「……結構、人多いね」

 人が多いだけではない違和感に、私はあたりを見回す。
原因はすぐにわかった。
人の流れが改札に向かっていないのだ。
みんな立ち止まって、スマホの画面を一生懸命見つめているか、誰かと電話しているか。



 雑踏の中に聞き流していた構内放送の音を、ようやく日本語として聞き分けた。

『当駅に発着する電車は、強風のため全線で運転を見合わせております。復旧の目処は立っておりません。お急ぎの皆様におかれましては――』

「まずいな……」

 私の頭の斜め上で、相馬が呟く声が聞こえて、私は慌てて明るい声を出した。

「大丈夫だよ、タクシーで帰るから。ここまでありがとうね」

「タクシーって、あれのこと?」

 相馬が私の背後を指さして、私は振り返った。


/264ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ