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unbalance
第3章 夜道
……うわー、まじか……。
当然と言われれば当然だった。
タクシー乗り場には、長蛇の列ができていた。タクシーは出払っていて一台も見当たらず、列はちっとも前に進む気配がなかった。
「一時間、いや、二時間は待つかもな」
「……だったら、二時間待つよ」
もはや強がりなのは明白だった。それでもそう言わざるを得ない私に、相馬はさらりと言った。
「うち、来れば?」
……まさか。
「……いやいや」
頭の片隅にあったけれど気づかない振りをしていた可能性を、あっさり口にされて、咄嗟に笑顔が固まった。
それに気づいたのかもしれない、相馬が慌てて手を振る。
「別に変な意味じゃねえよ。勘違いすんな」
「しっ……してないし!」
意識したなんて思われたくなくて、私は咄嗟に誤魔化そうとして大きい声を出した。
「相馬が私のこと女だと思ってないのは知ってるしね!」