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第17章 顔色



 相馬がこまごまとしたお化粧道具を見つめて、

「俺……そんな酷い?」

「割と。結構。かなり」

 折り畳みの手鏡を持たせると、相馬は改めて自分の顔をまじまじと眺め、

「……確かに」

と言った。



「家で自分の顔見てこなかったの?」

 相馬は記憶を辿るように目線を上げて、

「言われてみれば見なかったかも。ばたばたしてたし」

 男性ってそんなもんか。



とりあえず、自分の手の甲にほんの少しだけ下地を出して、指で取り、

「失礼します」

 大人しくなった相馬の頬に乗せた。相馬は目を閉じてじっとしていた。


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