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unbalance
第19章 軽口



 ついたかついていないか、わからないぐらいのチークを、うっすら相馬の頬に仕込む。
誤魔化しの血色で、青白さの軽減を試みる。

もうちょっと足したほうがいい? 
これ以上はやりすぎ?



 私が慎重に色を調整していると、相馬が遠慮気味に、顔を動かさないように、再び声を発した。
驚いて肩がぴくりと反応してしまったけれど、幸い目を閉じている相馬には気づかれなかった。
もう目を閉じている必要はないけれど、このままでいてもらおう。



「ひとつ、聞いてもいい?」

「……何?」

「怪我までさせられて、まだ……嫌じゃない、の?」



 核心に迫る問いに、どきりとする。



「嫌じゃないよ」

「どうして?」


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