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第26章 コンシーラー



 翌日は最悪だった。



 朝に一瞬だけ顔を合わせた相馬は、少しクマが薄まっている気がした。
もちろん、いつもどおりには程遠い。昨日のお化粧した直後にすら及ばない。
相変わらず血色は悪い。
けれど、少なくとも、昨日出社したときのあの屍のような顔ではない。



 昨夜はきっと、よく眠れたんだろう。
はいはいよかったね、すっきりできて。
きちんと睡眠がとれる日々をこのまま数日続ければ、顔色もすっかり元通りになるに違いない。

私は今朝も、目元の腫れと悪戦苦闘したというのに。



 相馬が元気になったことに対して、最悪、と思っている自分のほうが、人として最悪だった。



 彼が自席にじっとしていないのはいつものことなのに、フロア中を駆け回って戻ってこない相馬に、避けられているのではないかと勘ぐってしまう。


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