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unbalance
第27章 通知
「霧野、それ前にも言ってたけど、何の話?」
霧野の目の色が変わった。
しまった、怒らせた。
「だって……っ」
しかし、その次の言葉が出てこない。
そのうちに、スマホのバイブが鳴る音がした。
俺は反射的に、テーブルの上に置きっぱなしだった自分の社用スマホを見た。
通知で画面が自動的に点灯して、先輩からのチャットが表示された。
『お前ら、いちゃつくのはいいが他所でやってくれ。コーヒーが買えない』
――まずい。
俺は咄嗟にスマホを取って画面を霧野から隠すと、立ち上がった。
「霧野、続きは明日だ」
「え、」
「俺、もう出ないと」
先輩からのメッセージの内容を教える気はない。
これから席に戻る霧野に、これを伝えるのはあまりにも酷だ。
ついでに見えた時計によれば、そろそろ出たほうがいいのも確かだった。