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第27章 通知



 先輩には、月曜日から散々話を聞いてもらっていた。
俺のじめじめした失恋話にずっと付き合ってくれているのだ。
結果報告ぐらいは義理だろう。



『楽しみに惚気話待ってるわ』

 惚気話になるかどうかは。

『やめてくださいよ。まだわかんないんで』

 正直――既に舞い上がっている。



 霧野の顔を赤くして俯く姿に、これはいけると思っている自分がいる。
と同時に――、



 俺にバレないように顔を隠して、布団に伏せって静かに泣く霧野の姿が、何度だって脳裏にちらつく。



『また振られたら、俺が慰めてやんよ』

『それは、かなり本気で先約お願いします』



 俺はもう一度先輩に礼を言って、スマホを閉じた。



 悩んだって何したって、明日の夜には決着がつくのだ。
そしてそれはつまり、明日の夜まではいくら悩んだって仕方がないということ。
くよくよするのは止そう。



 俺は誰も見ていないのをいいことに、ちょっと背筋を伸ばして、バックミラーで自分の目元を確認する。



 ――霧野に綺麗にしてもらったんだ。

 ちょっと元気になって深呼吸して、俺は車を発進させた。


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