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第28章 先約



 本当は月曜日に出すものまで、今日終わらせて帰れたら安心だったのだけれど、それは、いいだろう。



『優秀なことで』

『相馬が、半分来週に回してくれたお陰です』



 五時まであと十分になっていた。
お化粧を直さなきゃいけないので、私は席を立つ。
お手洗いで諸々確認して席に戻ると、ちょうど五時になったところで、相馬は席を外していた。



 部長が行くぞと言うので、私は付き従って会社を出た。



よかったですね、相馬のお陰で、今日急ぎの資料作成がなくて。



駅までの道中、部長の汗の染みた背中を睨みつけてみた。
本人にわかるように反抗的な態度を取る勇気は、ない。


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