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第33章 コスモポリタン



「……っ」

 急な口説き文句が飛んできて、一瞬言葉に詰まる。



「わ……悪かったわねっ普段可愛くなくて!」

「いや、普段も可愛いけど。まあ、どっちかというと俺は霧野の格好いいところに惚れてはいる」



 だから、そういう、惚れたとか! 何でそんなさらっと言うの!



 甘い言葉とは裏腹に、相馬は不貞腐れながら、ウイスキー――が入っていたグラスの中で氷が溶けた、なけなしの冷水を煽った。

「いや、違うかな。最初は格好いいところに惚れてたけど、今は」

 ちょっと考える素振りを見せて、

「格好いい霧野が、実はめちゃめちゃ可愛いから、ますます好き、かな」



「かっ……!」

「そうやってすぐ真っ赤になるところとか」



 なりたくてなってるんじゃない!



 私は残りのコスモポリタンを急いで口に運ぶことで聞き流しているふりをした。
それが今の私にできる精いっぱいだった。


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