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第34章 ロングアイランドアイスティー



「霧野らしくないじゃん。霧野だったらもっと賢く話せるはずだろ」

「……そんな、」

「俺が惚れた霧野は、そういう奴だよ」



 ……そんな言いかたされちゃったら。



「霧野は結局俺のこと、どう思ってるの」

 ああ、この人は、どこまでも真っ直ぐだ。



「……好き、です……」



 顔を伏せてその単語を絞り出すと、相馬がため息とともに、テーブルの上に突っ伏した。

「相馬?」

「……心臓に悪い」

 相馬は顔を上げない。

「ここまで来て振られたらどうしようかと思った」

 そんなわけ、ないのに。



「ごめん、」

「ありがとう」

 相馬が低い声でぽつりと言った。

「だいじにする」



「わ、私も、頑張るね」

 霧野は頑張らないで、もっと俺に頼ってくれたらいい、と相馬は小さな声でそう言った。


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