この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
unbalance
第35章 コンビニ



 なんで本命に対してだけそんなに下手なんだ――というのは事実としても、下手なりにアプローチをしていたつもりだった。

俺なんかじゃ釣り合わないとか貧弱なことを言う気はないし、実際、ぐずぐずしていたわけでもない。

好きだと気づいたときから、全力で落としにかかる。
これまでの恋愛もそうだったし、霧野だって。



ただ――



「霧野のこと、越えようと思ってたんですよね」

「越える?」

「その……仕事で」



 マスターさんが、あー、と納得した声を出した。

「一位なんだっけ?」

「……まあ……。だから俺が越えて、それで正々堂々、と思ってたんですけど」



 霧野が一位になって次の年には、俺も必死で二位まで追い上げた。
そこから先は――



「越えたの?」

「……まだです」

 仕方なくそう答えると、はっはっは、とマスターが笑った。



「次は越えますよ! 来期!」

「あれ、まだ目指すの? もう付き合っちゃったじゃない」

「そうなんですけど! そうじゃないんです!」



 あまり大きい声を出すと霧野に聞こえる、と、俺は慌てて声を潜めた。

「そういう問題じゃないんです」



「ま、応援はしてるよ。仕事のほうも、霧野さんとの仲も、さ」

「……ありがとうございます」



 マスターがカードを持って戻ってきたとき、俺はちょうどハイボールを飲み干した。


/377ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ