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第35章 コンビニ



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 お手洗いから出てきた霧野が、会計が既に済んでいることに怒り、私も半分払うとしつこく食い下がるのを何とかしょっぴいて店を出た。



「言っとくけど、私のほうがたぶん相馬より稼いでるからね!」

 店を出てなお、霧野は財布を出そうとするので、鞄ごと取り上げた。

「うるせーな、知ってるよ不動一位の女王が」

「そっ……んなんじゃないけど、ただ、残業代とか……って思って……」



 それは確かにそうだ。けど、

「残業代は霧野が頑張った分だろ。自分に使いな」

「だから、それが今じゃん!」

「あーわかったわかった」



 やっぱこいつ、酔ってんな。

まあ、二杯目はともかく、一杯目に強めのカクテルを選んだのは俺なのだけれど。



 別に、酔わせようと思ったわけではなくて、単純に、自立した格好いい女性が飲んでいるイメージがあって、霧野が飲んでいるところを見てみたかった。

霧野ほどの綺麗な女性が真っ赤なショートカクテルを飲んでいるところは確かに映えたけれど、
不思議とシゴデキの強い女性ではなくて、可愛い女の子が知らずに持ち帰られようとしているように見えた。


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