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第36章 歯磨き



 起こしたほうがいいんだろうか。
お風呂、入りたいかな。
コンシーラーは落としたほうがいいと思うけど……。



 相馬がお風呂入るなら部屋で髪を乾かそうと思って、ドライヤーをする前に声を掛けにきた。
でも、かなり疲れてるみたいだし、お風呂なんていいから寝させてあげたい……

でもでも、こんなにベッドのど真ん中を占領されちゃったら、私はどこで寝ればいいんだろう? 
先週、相馬は――ブランケットとバスタオルで寝てたな。
勝手に探してもいいのかな。



「霧野……」



 ベッドに掛けていた手に何かが触れて、視線を戻すと、いつの間に起きたのか、相馬が私の手を握っていた。

「お、おはよう?」

「んー」

 眠そうだ。



 相馬がそのまま私の手を引っ張って、自分の頬に添える。
戸惑いながらも撫でてあげると、へへ、と気の抜けた笑いを漏らした。

 その幸せそうな、安心しきった、飾らない笑顔を見て、ぎゅっと胸が締めつけられる。


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