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unbalance
第1章 残業
頼ってしまった悔しさと、頼ることができてほっとした気持ちが綯い交ぜになって、パソコンを眠りから覚ます彼の横顔を、しばらく見つめてしまっていた。
無意識だった。
彼はこちらを見ないまま、
「何? お礼ならキスでいいよ?」
「ばっ……ばっかじゃないの!?」
慌てて私も自分のパソコンに向き直る。
キス? ありえない、私のこと、女とも思ってないくせに!
そういうとこが嫌いだって言ってんのよ!
彼にとっては慣用句みたいなもんなんだろう、と、そこまでで考えるのはやめにして、私も彼にならって作業を再開した。