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第11章 奇跡



 どたばたと相馬が出ていくのを背中に聞いて、私はほっと胸を撫で下ろした。
狸寝入りなんて苦手だ。
寝ているかどうか確認されたら、バレない自信はなかった。



 横向きに寝転んだまま、そっと後ろに手を伸ばす。
服の上からおしりを探る。
汚れてはいなさそうだ。

周りも後ろ手でまさぐっていると、じんわり湿っている箇所を見つけた。
指で拭ってにおいを嗅ぐと、生臭くて思わず顔を顰める。

幸い、床に敷かれたカーペットは無事なようで、汚れているのはブランケットだけだった。
よかった。
カーペットが汚れたら、面倒なことになっていた。

 なんで私がそんな心配してるんだ。



 相馬に強く抱き締められていた腕に、肩に、胸に、まだ感触が残っていた。
それはもう、痛いぐらいに。


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