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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第4章 美しき桃源郷
それが本当なら……。

めちゃくちゃ幼稚だな。






胡蝶は今度は、虫を見る様な目を鶯に向けた。

自分が普通に過ごしていても四天王に会えない。

だけどこうして揉め事を起こせば四天王が納めに会いにきてくれる。






それってもうさぁ…。

上司(四天王)が無能じゃねぇ?






胡蝶は生前、規律の厳しい自衛隊に所属していた。

階級だけが全ての世界が、この桃源郷に似ていると思っていた。






だけど、それは【規則】がちゃんとしていて成り立っている組織で。

ここ桃源郷はほぼ無法地帯だ。






どうやら、その皺寄せを食らっているのは。

こうした下っ端の鬱憤の解消対象者の様だ。






胡蝶は込み上げる怒りに拳を握った。

しかし、この怒りの矛先は、水を掛けた鶯では無くて。

四天王に向かっていた。






「ここで何してるの?」






混濁した状況を一瞬にして返したのはたった一言だった。

胡蝶は最近聞いたばかりの声の主を振り返った。

そこには優雅に輪の中に入ってくる玄武の姿があった。







先程のざわめきとはまた違う嬌声が上がった。

その嬌声の中、玄武は当たり前の様にその中心に向かって行く。







(お前らがこの元凶じゃねえ?)

あたかもその場を収めにきた振る舞いの玄武に、胡蝶は青白い顔で玄武を見た。






その胡蝶を顔を確認して、また玄武は笑った。

それを誤魔化す様にいつもの口元を隠す拳に、胡蝶はイラっと玄武を冷めた目で見た。






「玄武様!!」

鶯がすぐに玄武の胸元に走って行った。






なんだこの茶番は。

どうやら舞鶴が言った様に、この状況は鶯が四天王に会うためだけに作った空間の様だ。




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