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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第4章 美しき桃源郷
鶯の話を聞いて、胡蝶は眉を下げた。

自分のせいで舞鶴までも非難の的になるとは思っていなかった。

それで舞鶴までも責められるなら、申し訳ない気持ちになった。






「だからって私や胡蝶を罰するのは四天王様のみよ!!あんたじゃないわ!!」

それでも毅然と鶯に話す舞鶴を見て、胡蝶はホッとした。

だけど鶯は、舞鶴の言葉にさらに怒りを溜めた様だ。







「あんたさぁ、そうやってお利口にやっているみたいだけど、結局胡蝶の事で得したのってあんたじゃないの?
………本当にあんたのそんな所大嫌い。
結局今日も朱雀様の屋敷に行ったのだって、胡蝶がやらかした事を朱雀様があんなに咎めに言ったからじゃないの?
それであんたが朱雀様との時間をうまい具合に得たのは知ってるんだから。
本当にあんたはタチが悪いよ。」







鶯の話に、胡蝶は思わず放心した。

今、自分を庇っている舞鶴は、彼女の真心では無くて、それさえも四天王の感心を買うためだと鶯は言っている。

その通りだったら、舞鶴には朱雀の屋敷に忍び込む事は事前に言っていた。

鶯が言う通り、その後の四天王との蜜事を狙っての事ならタチが悪い。







胡蝶は思わず呆けた顔で舞鶴を見てしまった。

「あんたと一緒にしないで!!」

胡蝶が見た舞鶴は鶯の言葉に本当に怒っている様で、顔を真っ赤にしながら叫んでいた。






胡蝶はその舞鶴の顔を見て我に返った。

そうだ。鶯のペースに巻き込まれてはいけない。

こんな風に当たり前に攻撃をし合う下の者達の心理戦に呑まれてしまった。






舞鶴はあの時も胡蝶を止めていた。

別にその後の朱雀との逢瀬を望んでいる様な素振りは無かった。







「こうやって騒ぎを起こして、四天王様がこの場を宥めてくれるのを狙ってやってるのは鶯!!あんたでしょう!!」






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