この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第2章 桃源郷は地獄だった…※
『私はあの人の元に戻りたい。』





いくら愛を囁いても、この腕に抱き締めても。

彼女は決して俺のモノにはならなかった。

ただ毎日、俺の側で違う男を思って泣いていた。






「……朱雀様……。」

朱雀が起きている気配に、一緒に寝屋にいた桔梗もまたその体を起こした。





まだ眠たそうに目を虚にさせて、見上げる顔に、朱雀は顔を緩めて桔梗を見た。

そしてそっと彼女の顔を両手で包むとその頬にキスをする。






「…起こしてごめんね…。」

桔梗を抱き締めながら、そのままベットに2人で横になった。

桔梗は再び朱雀の腕の中に入ると、安心した様に目を瞑った。





胡蝶が居なくなり、朱雀や他の四天王の心の穴を桔梗は埋めてくれた。

その中で、朱雀が1番桔梗に依存した。

それほど胡蝶が居なくなった衝撃が1番酷かった。





一時は廃人になりかけた朱雀にみんな心配した。

桔梗が上手く朱雀の心の隙間に入ってくれたおかげで、朱雀が安定してきたのを見て、彼女を1番の寵妃にする事に誰も文句を言わなかった。





朱雀は今でも胡蝶の夢を見る。

一緒に過ごした時期の全てが幸せそのものだった。

忘れろと。

そんな事を簡単に言われるほど、この気持ちは軽く無い。





もう200年前の出来事だった。






「……胡蝶は幸せに暮らしているだろうか……。」

「………………。」

たまに憂う様に、朱雀は桔梗にそんなことを聞く。





桃源郷にいれば時間の感覚が無くなるのか…。

胡蝶はとっくに、その生命を全うしているだろう。

今度は桃源郷に来る事も無く。

きっと会いたかった最愛の人と。

その人生を全うしたに違いない。





/88ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ