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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第6章 寵妃になる為に…※
「……あんた…何やってるの?」
「……逆立ちしながら、腕立て伏せ……。」
前世では訓練の毎日だった。
筋トレをしない日は無かったので、トレーニングは胡蝶の日課だった。
とても嫌な顔をしている舞鶴を逆さまに見て、胡蝶は壁に付けていた足を離して地面に下ろした。
「…………………。」
実は昨夜から一睡も出来ていない。
原因はもちろん、あの刺激的だった光景が離れないからだ。
思い出すだけで体が熱くなり、胡蝶は熱った体を諌めるのに体を動かす事にした。
「…顔真っ赤だけど大丈夫?」
耳まで赤い胡蝶に引いたように舞鶴は言った。
「だ……大丈夫…。」
この火照りは、筋トレのせいでは無い。
『胡蝶。』
「ぬあああぁぁーーーー!!」
耳の奥に残る玄武の声と、今でも感触が取れない彼の腕の中。
思い出して胡蝶は思わず叫んだ。
「なっ何なの?あんた!!」
舞鶴はまるで化け物を見る目で胡蝶を見る。
「はぁ…はぁ………舞鶴……。」
「何よ…。」
急に胡蝶が自分の方を向いたので、舞鶴はビクッと体を離した。
「……………アレって……気持ちいいの?」
顔を両手で隠しながら、胡蝶は舞鶴に聞いた。
…………。
アレとは……アレだろう。
今日は朝からおかしい胡蝶の動向の意味がやっと分かった。
(………玄武様が胡蝶に手を出したのかしら……。)
胡蝶を気にかけていた玄武を思い出した。
しかしこの反応はどうやら、まだ胡蝶は未経験の様に見える。
「……玄武様とキスでもした?」
舞鶴がニヤッと笑って聞くと、胡蝶の顔は沸騰した様に赤くなる。
分かるよ…。
玄武様のキスは最高に色っぽいもの。