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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第6章 寵妃になる為に…※
「白虎ー、ちょっといい?」
玄武に呼ばれて、白虎は振り返った。
白髪の髪が揺れ、青い目が少しだけ伏せられた。
ここ桃源郷では珍しい、洋装の服を着た男が玄武を見返した。
「…舞鶴に呼び出されてるんだけど…。」
「………………。」
その呼び出し先に居るのは、舞鶴じゃなくて胡蝶だ。
しかし、玄武はそんな事を白虎に教えない。
「舞鶴にはもう先に話してるよ。」
そう言って笑う玄武に、白虎は小さなため息をついて、体を全て玄武に向けた。
「白虎には、鶯の相手をして欲しいんだ。」
「……………。」
玄武がこうして自分に女人を頼む時の心情は分かっていた。
自分がすべき事も。
「………うん……分かった。」
それだけ言うと、白虎は玄武から目線を離した。
「ああ、それと。」
「?」
玄武が再び呼び止めるので、白虎は玄武を見た。
「近々、四神達に会わせたい女人が居るんだ。」
そう笑って言う玄武に、白虎はしばらくぼーっと玄武を見ていた。
「……ああ…、寵妃にしたい女人が出来たの?」
四神達がわざわざ女人を紹介したいと言うことは、今までだったらそう言う事だった。
自分の寵妃になるのだから、余計な接近はしてくれるなと言う牽制だ。
「……それよりもっと、面白いモノが見られるよ。」
玄武の含んだ笑みに、白虎はキョトンとしたが、それだけ言うと玄武は白虎から離れて行った。
しばらく玄武を見送った後、白虎は歩き出した。
その先は、玄武が言う通り鶯の元だった。