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第6章 才能の協奏曲

「チャイコフスキー、ピアノ協奏曲第1番ですか？」

「うん。そうだよ」

チャイコフスキー、ピアノ協奏曲第1番。ベートベン、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ラフマニノフ、ピアノ協奏曲第2番と並ぶ、3大ピアノ協奏曲と称される名曲である。

最近は携帯CMでも使用され、最初の5音を聴けば、この曲か！と思いだす程、馴染みのある曲であるが、あれは第1楽章の冒頭部分で、その後の第2～3楽章の美しさ、力強さはあまり知られてはいない曲である。

「KENさんがそこまで言うなら聴いてみたいです」

「了解。オケだけが演奏するCDをかけるから、僕がこのピアノでピアノ部分を演奏するよ。第2楽章と第3楽章ね」

「なぜオケだけの演奏CDあるんですか？」