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天狐あやかし秘譚
第78章 怪力乱神(かいりきらんしん)
☆☆☆
ほぼ同時刻、『だいだらぼっち』の巨体のまま地面に倒れ込んだカダマシは、必死に思考を巡らせていた。

ー今、何が・・・起こった!?

自分は天狐に『だいだらぼっち』の状態で特大の拳を浴びせたはずだった。いかな天狐とはいえ、あれだけの衝撃をあの細腕と古びた槍でどうにかできるわけがない・・・そう確信していた。

しかし、自分が次の瞬間感じたのは、爆発的に膨らむ殺気、雷光のような斬撃、そして、脳天から身体を貫く強烈な衝撃だった。

一瞬の内に意識を持っていかれ、目の前が暗く沈む。あ、と思ったときにはすでに大音響とともに巨躯を大地に横たえることになっていた。

ー状況は?

意識が戻れば『生玉』の力で治癒力を高め身体の再生はできる。目が、次いで、耳が機能を取り戻す。

ー何分?いや何秒気を失っていた?!

周囲の空気の流れを感じるにつけ、気を失っていたのはおそらくは数秒であったと判断できた。しかし、戦場でのそれはほぼ致命傷だといってよかった。
目だけを素早く動かして戦況を把握する。

ヤギョウが妙な鎖で地面に縫い付けられるように拘束されている。
クチナワが白目を剥いて意識を失う寸前まで追い詰められている。

かろうじてクチナワが召喚した妖魅達があちこちで陰陽師と交戦をしているようだが、あれらもクチナワが気を失えば消滅する。

ー何だ!?ほんの一瞬だったはずなのに、ここまで戦況がひっくり返されるのか?
 俺が・・・俺が倒れたから、なのか!?
 とにかく起き上がらねば・・・

そう思い、身体を起こそうとすると、左肩に強烈な打撃を受けた。

「ぐうぅ!」

たまらずにまた、仰向けに倒れてしまう。目だけを向けると、天狐が槍を油断なく構え、殺気のこもった目でこちらをみているのがわかった。

腕を上げれば腕を、
身体を起こそうとすれば肩を、
即座にあの槍が貫いてくる。

弄ばれている・・・っ!

咄嗟にそう思った。
身体が、震えていた。
それは、久しく感じていなかった『恐怖』だった。

ーダメだ・・・敵わない。勝ち目がない・・・。
 畜生・・・あの時と同じじゃねえか。
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