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天狐あやかし秘譚
第79章 義勇任侠(ぎゆうにんきょう)

☆☆☆
「何、これ・・・」
日暮が結界壁を見上げて目を見開いていた。なんとなく、顔色が悪いようにも見える。
「どう・・・したんですか?」
その表情に不穏なものを感じて、同じ方向を見上げる。
何、あれ?
高くそびえる結界壁の内部がまるで真昼のように光っているようだった。それはまるで、円形に囲まれた結界壁から光の奔流が天に向かって立ち昇っているかのように見える。ゴゴゴゴゴと遅れて地鳴りが響き出し、事態がいよいよ普通ではないことを私達に知らせた。
おそらく自身の式神である『猫神』と視覚を共有しており、内部の状態を見ている日暮は、私よりも状況を把握しているのだろう。冷や汗を流さんばかりに驚愕の表情を浮かべていた。
「なにか、ものすごいエネルギーの塊が爆発しようとしている・・・。あんなエネルギーが結界内で爆発したら・・・」
言いかけて、日暮が言葉を切る。彼女はみなまでいうのを遠慮したのだろうけど、聞いていた私にすら、その先の言葉はなんとなく想像がついてしまった。
『爆発したら、結界内にいる人は、みんな・・・死ぬ』
彼女はそう言いたかったのだろう。
「ダリ・・・」
あなたがいれば、大丈夫だよね?
みんなを、守ってくれるよね・・・
私は胸の前に組んだ手に力を込めた。
でも、どうしても、背筋を這い上がる怖気のような嫌な予感を、私は振り払うことができなかった。
「何、これ・・・」
日暮が結界壁を見上げて目を見開いていた。なんとなく、顔色が悪いようにも見える。
「どう・・・したんですか?」
その表情に不穏なものを感じて、同じ方向を見上げる。
何、あれ?
高くそびえる結界壁の内部がまるで真昼のように光っているようだった。それはまるで、円形に囲まれた結界壁から光の奔流が天に向かって立ち昇っているかのように見える。ゴゴゴゴゴと遅れて地鳴りが響き出し、事態がいよいよ普通ではないことを私達に知らせた。
おそらく自身の式神である『猫神』と視覚を共有しており、内部の状態を見ている日暮は、私よりも状況を把握しているのだろう。冷や汗を流さんばかりに驚愕の表情を浮かべていた。
「なにか、ものすごいエネルギーの塊が爆発しようとしている・・・。あんなエネルギーが結界内で爆発したら・・・」
言いかけて、日暮が言葉を切る。彼女はみなまでいうのを遠慮したのだろうけど、聞いていた私にすら、その先の言葉はなんとなく想像がついてしまった。
『爆発したら、結界内にいる人は、みんな・・・死ぬ』
彼女はそう言いたかったのだろう。
「ダリ・・・」
あなたがいれば、大丈夫だよね?
みんなを、守ってくれるよね・・・
私は胸の前に組んだ手に力を込めた。
でも、どうしても、背筋を這い上がる怖気のような嫌な予感を、私は振り払うことができなかった。

