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天狐あやかし秘譚
第79章 義勇任侠(ぎゆうにんきょう)
☆☆☆
「なんや・・・あれは!?」

土御門が目を剥く。その視線の先には黄泉平坂の前で交戦していたはずのダリとカダマシがいた。カダマシが突如強烈な力を放ち始めたかと思ったら、天狐もそれを相殺しようとしているかのように、同じくらいの力をぶつけていった。

一瞬の均衡の後、天狐が押し勝った。そう思った。
しかし、負けたはずのカダマシから、先程よりも更に強大な力が溢れ出そうとしているのを感じた。

隣りにいる瀬良もあまりにも強い力の奔流に、たまらず腕で顔を覆っていた。ダリたちの背後では祭部の陰陽師たちが張った七星辰結界が守る黄泉平坂があるが、こちらよりもカダマシに距離が近いためだろう、その結界は強大なエネルギーに押され、軋みを上げているのが見て取れた。

「土御門様!あれは!?」
「わからん!でも・・・とにかく!」

とにかく、あれはヤバい。それだけは分かった。
今はかろうじて押さえつけられているが、あの光が爆発すれば、溢れた力は結界内に充満するだろう。確かに、周囲を囲む四神クラスの結界『玄武盤石厳界』は耐えるだろうが、それが逆に仇になる。

逃げ場のないエネルギーは、内部にいるもの全てを焼き尽くすことになる。

もし天狐が、あのエネルギーを抑えたら?
いや、それもダメだろう。
エネルギーは消えるわけではない。たとえ超妖力で一時的には押さえつけることに成功したところで、それは数秒の猶予が生まれるだけだ。玄武盤石厳界を解き、適切な方法でエネルギーを逃がす方法を整える・・・そこまでの時間を作ることなどできない。

女怪の時みたいに時間を止めたら?
いや、無理だ。あれだけの力の奔流を押さえつけることができない以上、時間が止まった結界内に封じるのも無理だ。

ークソ・・・

首無しの怪物が抱えている棺の中にいると思われる片霧麻衣、この場にいる陰陽師、その全てを守ることは・・・、無理・・・か・・・

ーならば、せめて!

土御門は咄嗟に瀬良を抱きかかえる。少しでもあのエネルギーの奔流を遮るために。その身を呈して守るために。

「土御門様!」

光が結界内に溢れる。
それは、全ての闇を、音を、打ち払い、焼き尽くそうと迫ってきていた。

ーすまん!瀬良!

それは本当に叫んだのか、心の中で思っただけだったのか。もはや土御門には区別がついていなかった。
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