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天狐あやかし秘譚
第79章 義勇任侠(ぎゆうにんきょう)
耳をつんざくような轟音が大気を震わしたかと思うと、一転して、あたりが静寂に包まれた。

ん?・・・
想像していた衝撃が来なかった・・・?
それとも、あまりの衝撃に死んだことにすら自分らは気づいていないのか?

そんな疑問が頭を過る。
瀬良を抱えた姿勢のまま、そっと土御門は目を開いた。

周囲の景色が闇一色に戻っている?

何が起こったのか理解できなかった。おそらくカダマシが最後の力を振り絞って何らかの術を発動したのだろうと思った。その爆発的な力はとてもじゃないけれども、今ある資源でどうにかできる代物ではなかったはずだ。

確実に死んだと思った。
なのに生きている。
自分も、瀬良も・・・。

そっと、周囲を見渡した。
頭を抱えうずくまった陰陽師たちも次々と顔や体を起こし、周囲を不思議そうに見回していた。目の前では先程、勾陳の術によって縛り付けられた『首無しの死霊』が、そのままの姿でもがいている。

「なんや・・・助かったのか?」
土御門は安堵の声を漏らす。
「あ・・・その・・・土御門様?」
瀬良の声を聞き、自分が瀬良のことを強く抱きしめることを、はっと思い出し慌てて離れた。瀬良も若干顔を赤らめたものの、何事もなかったかのように振る舞おうとする。
「今の莫大な呪力はどこに・・・?」

さあ、わからん・・・

そう言おうとした時、土御門と瀬良は同時に全身に激しい悪寒を感じた。
全身を貫く悪寒に引き続き、卵が腐ったような、という言い古された表現がピッタリの臭気が鼻を突く。熱く爛れたような硫黄を思わせる臭いが前方の黄泉平坂から放たれていたのだ。

「まさか・・・黄泉の瘴気・・・」

土御門が目を凝らすと、黄泉平坂を守っていたはずの七星辰結界は粉々に破壊されていた。そして、結界の奥、黄泉平坂を塞いでいたはずの千引の大岩もまた、跡形もなく砕けており、そこに夜の闇より深い黒々とした瘴気がわだかまっていた。

「土御門様・・・」
ゴクリと、瀬良が息を呑むのが聞こえた。
「ああ・・・理由はわからんが、開いてもうた・・・」

わだかまった瘴気の洞から醜く爛れた腕が、幾本も伸び、這い出そうとするかのように宙空を掴む。
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