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天狐あやかし秘譚
第80章 絶体絶命(ぜったいぜつめい)

「先程の鳴動、この結界内の瘴気の圧の高まり・・・感じてはいましたが、やはり、開いてしまいましたか・・・」
「大鹿島様・・・大丈夫なのでしょうか・・・」
傍らで結界の維持を補助していた祭部の陰陽師・敷島明日香は心配そうな声を上げた。
「明日香・・・私達の為すべきことは同じです。この結界が壊れれば、それこそ日本国中に黄泉の死者、そして魔物達が溢れてしまいます。・・・死守するのです。なんとしても・・・この玄武盤石厳界と水公・歳破反鬼血界を。ここが・・・、私達の立っているこここそが、生と死の境目なのですから。」
凛としてその姿勢を崩さない大鹿島の姿は、年若い敷島に安心感をもたらした。敷島もまた、大鹿島の隣で結界維持のための呪言を唱え始めた。
「伝令・・・烏丸及び全ての祭部の術者に伝えなさい。
結界の維持を最優先に。
皆で、日本を守るのです・・・と」
はっ!
伝令役の陰陽生が一度頭を垂れ、祭壇前から走り去る。
去りゆく彼の気配を感じながら、大鹿島は目を閉じ、必死に結界内の様子を探る。
ーお願いします。信じておりますよ、土御門殿・・・あなたなら、必ずやこの国を守ってくれると。
そしてなおさら強く、唱え続ける呪言に、念を込めていった。
「大鹿島様・・・大丈夫なのでしょうか・・・」
傍らで結界の維持を補助していた祭部の陰陽師・敷島明日香は心配そうな声を上げた。
「明日香・・・私達の為すべきことは同じです。この結界が壊れれば、それこそ日本国中に黄泉の死者、そして魔物達が溢れてしまいます。・・・死守するのです。なんとしても・・・この玄武盤石厳界と水公・歳破反鬼血界を。ここが・・・、私達の立っているこここそが、生と死の境目なのですから。」
凛としてその姿勢を崩さない大鹿島の姿は、年若い敷島に安心感をもたらした。敷島もまた、大鹿島の隣で結界維持のための呪言を唱え始めた。
「伝令・・・烏丸及び全ての祭部の術者に伝えなさい。
結界の維持を最優先に。
皆で、日本を守るのです・・・と」
はっ!
伝令役の陰陽生が一度頭を垂れ、祭壇前から走り去る。
去りゆく彼の気配を感じながら、大鹿島は目を閉じ、必死に結界内の様子を探る。
ーお願いします。信じておりますよ、土御門殿・・・あなたなら、必ずやこの国を守ってくれると。
そしてなおさら強く、唱え続ける呪言に、念を込めていった。

