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天狐あやかし秘譚
第80章 絶体絶命(ぜったいぜつめい)
☆☆☆
日暮の言葉により、伝令が駆け巡った後、やっと少し落ち着いたのか、彼女は私に自分が見た光景を説明してくれた。
日暮によると、黄泉の入口である「千引の大岩」を壊したのはダリだという。

「ダリさんとしても苦渋の選択だった・・・と思われます。
 急にあのカダマシの中で呪力が爆発的に増加したのです。
 あの呪力がもし、そのまま大鹿島様の結界の中で放出されたら、多分、結界内は一瞬の内に焼き尽くされてしまったでしょう」

カダマシから噴出したエネルギーが大鹿島の張った玄武盤石厳界の中で暴れまわり、行き場を失った熱量が中にいる陰陽師たちを焼き尽くす・・・。私の頭の中に、そんな地獄絵図と化した結界内のイメージが容易に浮かんだ。

「ダリさんはおそらく最初、爆発を抑え込もうとしたのだと思います。少しだけカダマシの方に進む様子を見せました。しかし、すぐに踵を返して、千引の大岩を彼の持つ槍で撃ち抜いたのです。」
「なんで・・・?」
「エネルギーの逃がしどころを探したのだと思います。そこで彼が目をつけたのが『黄泉路』だったのです。あの場にある無限に近い異空間への入口。しかも中にいるのは死者ばかり。たとえ莫大なエネルギーが注ぎ込まれたとしても黄泉路が破壊されることはないし、死者はこれ以上死にようがありませんから」

つまり、ダリは、結界内にいる皆を守るために、本来守らねばならない黄泉への入口をこじ開けざるを得なかった、というわけだ。

「で・・・でも、ダリさんの選択は正しかったと思います。というか、それしかなかったでしょう。多分、あのまま、あの位置でエネルギーの塊が炸裂すれば、どっちみち千引の大岩は壊れていたでしょう。だとしたら、結界を維持し、かつ、陰陽寮の陰陽師たちを生かすことに成功したのですから・・・、あれが、あの時点では最良の選択だったのです」

でも・・・と日暮は言い、そして黙り込んだ。

でも、そうだろう。結果的に黄泉路は開き、敵の思うツボなわけだ。

「さすがにカダマシは戦闘不能のようです。倒れたきり動く気配がありません。しかし、カダマシが連れてきた正体不明の『首無しの死霊』と、クチナワと呼ばれていた妖魅使いの放った妖怪たちは、黄泉路から溢れ出した瘴気を受けて強化されてしまっています。今は、なんとか土御門様達が押さえつけているようですが・・・」
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