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天狐あやかし秘譚
第81章 覆水不返(ふくすいふへん)
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【覆水不返】一度してしまったことは、もはや取り返しがつかないという意味。
一度こぼしちゃった水って元には戻らないんだよね、みたいな。
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黄泉平坂に飛び込んだ私はすぐに後悔をした。
そこはがらんとした空間で、幅が5メートルほどの下り坂がまっすぐにずっと続いていた。道の両脇は断崖絶壁で、そっと見下ろすと、そこに広がっているのは何百メートルあるのかわからない奈落だった。光源はわからないものの、空間全体が不思議な淡い光に包まれており、ぼんやりと先を見通すことはできた。

もちろん、手すりやガードレールなどありはしない。間違って落ちたら一巻の終わりということがよく分かった。

それだけでも後悔するのに余りあるのに、それ以外にも私の身体に重大な変調があったのだ。
まず、感じたのは身体全体がズン、と重たくなったことだった。まるで鉛を身体中に詰め込まれたような、そんな感じだった。それから、圧倒的な息苦しさ。周囲の空気がどろりとした粘液のようになっているような感じで、自由に息が吸えないのだ。

お腹のあたりが温かい。そこを中心に身体がやっと支えられている感じだ。それはつまり、私が身につけている『瘴気除けの符』がかろうじて私の命をつないでいることを意味する。

だ・・・大丈夫なのだろうか?

入口から少し入っただけでもこれである。ここから更に深く入っていけば、呪符の力が保たない、なんてこともありうるかもしれない。

しかし・・・。
少し先を見ると、大柄な男が女の子の手を引いているのが見える。いつの間にか大男は棺を放棄しており、恐らく棺の中に入っていたであろう麻衣ちゃんと手を繋いで歩いていた。なんで麻衣ちゃんが棺から出されているのか、理由は不明だが、棺に入れられた状態で大男が突っ走っていったら絶対に追いつけなかったと思うので、このことは不幸中の幸いとも言える。

トコトコと歩く幼い麻衣ちゃんを見ると、ここで引き返そうとはやっぱり思えなかった。
助けなければという使命感で、足を前に進める。
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