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天狐あやかし秘譚
第81章 覆水不返(ふくすいふへん)

☆☆☆
ピピピ・・・
脇の下に挟んでいた体温計が、電子音を上げ、測定の終わりを告げる。「どれ、見せてご覧」と、お母さんがそれを取り出して見た。
「うーん・・・やっぱりお熱あるわね。
しかも38度7分・・・お顔赤いからと思ったけど。お喉とか痛くないの?」
正直言って、昨日の夜から体調は悪かった。頭は痛かったし、喉も違和感があった。今朝起きた時は息をするだけでも何度も咳をしそうなったし、体もだるくてあちこち関節が痛い。身体はぼやっと火照っていて、とても健康だとは思えなかった。
でも、私は我慢をしていた。だって・・・だって・・・
今日から家族みんなで旅行するってなっていたから。
お父さん、お母さん、おばあちゃん、おじいちゃん、それからお兄ちゃんと猫のミーも一緒。本当はお父さんがお仕事納めの日か、その次の日からの旅行を計画していたのだけど、お宿が取れなかったから、仕方なく1月1日の午後からの宿泊をすることになっていた。
行き先は私も大好きなスキー場。
温泉もついているので、おじいちゃんやおばあちゃんも楽しみにしていたし、ペット同伴可能だったからミーも一緒の部屋にお泊りできる。お兄ちゃんはゲームセンターでいっぱい遊ぶんだと張り切っていた。
「麻衣ちゃんだけ置いていくわけにいかないしねぇ」
お母さんが言うと、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さんも優しく頷く。確かに、みんなが遊びに行って私だけお留守番、っていうのは嫌だった。でも、みんなも楽しみにしていたのに、私のせいで行かれないのはもっと嫌だった。
「また、予定を変えていけばええて」
おじいちゃんが言う。お父さんも、それに賛同していた。
お兄ちゃんは若干ふくれっ面をしていたけれども、お母さんが「家でゲームいっぱいやっていいから」と言うと、ころっと機嫌が良くなった。
ミーは私の横でうーんとノビをしていた。
「ごめんなさい」
休日診療のお医者さんの診察を受けたところ、インフルエンザなのが分かった。なので私はひとりのお部屋でマスクをして寝てることになる。お母さんが急遽作ってくれたおかゆや近所の人から分けてもらったおせちを少し食べて、もらったお薬を飲んで寝ていた。身体がふわふわしていて、すごくだるくて、疲れやすかった。やっぱり寝ていられるのは楽だった。
ピピピ・・・
脇の下に挟んでいた体温計が、電子音を上げ、測定の終わりを告げる。「どれ、見せてご覧」と、お母さんがそれを取り出して見た。
「うーん・・・やっぱりお熱あるわね。
しかも38度7分・・・お顔赤いからと思ったけど。お喉とか痛くないの?」
正直言って、昨日の夜から体調は悪かった。頭は痛かったし、喉も違和感があった。今朝起きた時は息をするだけでも何度も咳をしそうなったし、体もだるくてあちこち関節が痛い。身体はぼやっと火照っていて、とても健康だとは思えなかった。
でも、私は我慢をしていた。だって・・・だって・・・
今日から家族みんなで旅行するってなっていたから。
お父さん、お母さん、おばあちゃん、おじいちゃん、それからお兄ちゃんと猫のミーも一緒。本当はお父さんがお仕事納めの日か、その次の日からの旅行を計画していたのだけど、お宿が取れなかったから、仕方なく1月1日の午後からの宿泊をすることになっていた。
行き先は私も大好きなスキー場。
温泉もついているので、おじいちゃんやおばあちゃんも楽しみにしていたし、ペット同伴可能だったからミーも一緒の部屋にお泊りできる。お兄ちゃんはゲームセンターでいっぱい遊ぶんだと張り切っていた。
「麻衣ちゃんだけ置いていくわけにいかないしねぇ」
お母さんが言うと、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さんも優しく頷く。確かに、みんなが遊びに行って私だけお留守番、っていうのは嫌だった。でも、みんなも楽しみにしていたのに、私のせいで行かれないのはもっと嫌だった。
「また、予定を変えていけばええて」
おじいちゃんが言う。お父さんも、それに賛同していた。
お兄ちゃんは若干ふくれっ面をしていたけれども、お母さんが「家でゲームいっぱいやっていいから」と言うと、ころっと機嫌が良くなった。
ミーは私の横でうーんとノビをしていた。
「ごめんなさい」
休日診療のお医者さんの診察を受けたところ、インフルエンザなのが分かった。なので私はひとりのお部屋でマスクをして寝てることになる。お母さんが急遽作ってくれたおかゆや近所の人から分けてもらったおせちを少し食べて、もらったお薬を飲んで寝ていた。身体がふわふわしていて、すごくだるくて、疲れやすかった。やっぱり寝ていられるのは楽だった。

