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天狐あやかし秘譚
第83章 一業所感(いちごうしょかん)
朗報もあるにはある。警察から連絡を受けた雄一の母親が、彼の看病に駆けつけているのだ。そう、3年前に彼に首を絞められた母親は生きていたのである。母は、最初こそ変わり果てた我が子の姿に愕然としていたそうだが、今では毎日のように彼の病床を訪れ、その体を擦り、回復を願っているという。たとえどのような罪を犯そうとも、生きていてほしい、そう言っていたそうだ。

最後にヤギョウであるが、彼の行方は杳として知れなかった。黄泉平坂の中の黄泉の岩戸をこじ開ける儀式を行っていたところまでは現認されていたものの、その後のイザナミとの交戦中に姿をくらましたきり、どこを探しても見つけることができなかったのだ。ただ、クチナワの証言により、彼は神宝を有してはいないということが分かったので、現状、そこまでの脅威ではないと判断された。

もちろん、その容貌、能力などは陰陽寮の全支所に通達され、緋紅ともども指名手配がかけられるている。

さて、敵方についてはこんなものだろうか。

麻衣ちゃんのことに話を移そう。ダリがイザナミを黄泉に送り返したことで、依代として取り込まれた彼女は無事保護された。黄泉の瘴気による影響を懸念して宮内庁病院に搬送をされたが、どうやらイザナミに取り込まれていたのが幸いしたらしく、心配されていた後遺症はほとんど見られなかったという。今では、遠い親戚が名乗りを上げてくれ、麻衣ちゃんを引き取る算段が進んでいると聞いている。

黄泉平坂はどうなったのか?

先程言ったように、黄泉の岩戸は閉じられた。そして、もう一つの結界である『千引の大岩』であるが、やはり神の業の再現は困難であったらしく、完全な代替物の設置は不可能と結論付けられたようだ。そのため、現在、黄泉平坂の入口は大鹿島の指導のもと、祭部衆が四交替制で『玄武盤石厳界』を維持することでなんとか塞がれているとのことだった。この緊急措置により、とりあえず黄泉醜女が溢れ出してくる、という事態は避けられているようだった。

なお、余談だが、黄泉平坂が完全に宮内庁管轄になったことで、一般への解放が禁止されてしまった。その煽りを受けた島根県の観光協会から、しばらく陰陽寮への苦情の電話が鳴り止まなかったらしい。
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