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天狐あやかし秘譚
第84章 【第16話 GD】雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)
そのためには・・・

ぱたん、とテキストを閉じて、窓から外を見る。
昼間だと言うのに、薬の効果のせいで、薄闇に染まったように見える美しい町並みがそこには見える。

そのためには、もっと、この薬を貰わなきゃ。
そういえば言っていた・・・【お薬屋】が、言っていた。

『ぜひ、新しいモニターを紹介してください。そうしたら、もう一瓶プレゼントしますよ』

そして・・・

『坂本さん、まだ『赤』は試していないですよね?』
『新しいモニターがいたら連れてきてください・・・『赤色』もプレゼントしちゃいます』

『赤色』の薬・・・

青より、黄色の方がすごかった。
それなら、赤は一体、どうなるんだろう。
どんな体験ができるんだろう?

それを思うと、居ても立ってもいられなかった。早く試してみたい。頭の中はその思いでいっぱいになる。

課題は終わった。じゃあ、もういいよね?
文句、ないでしょ?

私は窓を開けて、そこからぴょんと、外に飛び出していった。
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