この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第84章 【第16話 GD】雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)

今通っている学校は、『自称・進学校』の私立女子校。少しでも進学率を上げるための努力は惜しまない姿勢だ。学校でも、家でも、内申、偏差値、学力向上・・・言うことはそれしかないのか。
逃げ場も居場所もない。
辛い、辛い・・・とても・・・辛いよ・・・
そんな事を考えている内に、じわじわと薬が、身体に沁み込んできたみたいだ。
トクン、と心臓の鼓動を強く感じる。
身体が内側から熱くなる。
色が・・・変わった?
世界から、暖色系の色がなくなり、紫や青、藍色に染まっていく。
普段気づかなかったモノが、キラキラと輝いているように見えた。
わあ・・・きれい・・・。
音が、よく聞こえる。
キッチンで夕飯の準備をしている母親の立てている音
隣の部屋でゲームをしている弟の体を揺すっている様子
外を走る車の音だけではない
歩いている人の吐息まで聞こえてくるよう・・・
すごい・・・すごいよ、これ・・・
まるで、自分が周囲の世界に溶け合って、ひとつになったみたい。
一回目もすごかったけれども、これもすごい。
これも「当たり」だ。
ちらりと課題に目をやる。
なんだ・・・簡単そうじゃないか。
何でも、本当にどんなことでもできる気がした。机に向かって、シャーペンを走らせる。ものすごい集中できる。色の変わった世界。問題を目にした瞬間に答えが浮かんでくる。浮かんでくる回答を書くのに、手がついていかないほどだった。
英語があっという間に終わった。
そして、数学と化学
社会の課題も15分ほどでカタがついた。
最後は国語
あまり得意ではないが、これも同じだった。
目が縦から横にすらすらと動いていく。頭にスルスルと文章が入ってくる。問題文に当てはまる答えがまるで浮き上がって見えるかのようで、何の難しさも感じない。
すごい・・・!
これがあれば、受験も何も、怖くない。
母にも父にも何も言わせない!
もっと、もっと私は私でいられる。
逃げ場も居場所もない。
辛い、辛い・・・とても・・・辛いよ・・・
そんな事を考えている内に、じわじわと薬が、身体に沁み込んできたみたいだ。
トクン、と心臓の鼓動を強く感じる。
身体が内側から熱くなる。
色が・・・変わった?
世界から、暖色系の色がなくなり、紫や青、藍色に染まっていく。
普段気づかなかったモノが、キラキラと輝いているように見えた。
わあ・・・きれい・・・。
音が、よく聞こえる。
キッチンで夕飯の準備をしている母親の立てている音
隣の部屋でゲームをしている弟の体を揺すっている様子
外を走る車の音だけではない
歩いている人の吐息まで聞こえてくるよう・・・
すごい・・・すごいよ、これ・・・
まるで、自分が周囲の世界に溶け合って、ひとつになったみたい。
一回目もすごかったけれども、これもすごい。
これも「当たり」だ。
ちらりと課題に目をやる。
なんだ・・・簡単そうじゃないか。
何でも、本当にどんなことでもできる気がした。机に向かって、シャーペンを走らせる。ものすごい集中できる。色の変わった世界。問題を目にした瞬間に答えが浮かんでくる。浮かんでくる回答を書くのに、手がついていかないほどだった。
英語があっという間に終わった。
そして、数学と化学
社会の課題も15分ほどでカタがついた。
最後は国語
あまり得意ではないが、これも同じだった。
目が縦から横にすらすらと動いていく。頭にスルスルと文章が入ってくる。問題文に当てはまる答えがまるで浮き上がって見えるかのようで、何の難しさも感じない。
すごい・・・!
これがあれば、受験も何も、怖くない。
母にも父にも何も言わせない!
もっと、もっと私は私でいられる。

