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天狐あやかし秘譚
第84章 【第16話 GD】雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)

土門が示したのは、アメリカのサプリなんかがよくこの形で売られているよね、というようなプラスチック製の白いボトルだった。商品名やロゴなどの表示は何もなく、ただボトル部分は白、蓋の部分は緑色だった。大きさは高さ15センチほどだろうか。小型の容器だった。
「中には直径が9.3ミリメートル、高さ4ミリメートルほど、色は薄い青と黄色の二種類があるのですが、そういった錠剤様のものが数個残っていました。」
冴守、細かいなあ・・・
「その薬っぽいものなんですが、警視庁の方で調べた結果・・・」
要は怪しい薬、危険ドラッグの類ということなのだろう。それでラリって窓からジャンプ・・・みたいな?
「ただのラムネだったのです」
はい?
ラムネ?
「成分は、果糖、ぶどう糖、食塩、クエン酸、レシチン、乳酸カルシウム、香料としてシトラール、あと、着色料として、タートラジンやブリリアントブルーが少量・・・要は普通のラムネと同じ成分です」
私は化学の知識はあまりないので、冴守が冷静に読み上げる原材料名を聞いてもピンとこない。しかし、まあ、結果はわかる。
要はラムネ以外の何物でもない・・・ということか?
「ただ、これ、怪しいのです。坂本はこの『薬』をしきりに同級生にも試すように言って回っていたというのです。彼女自身は何らかの『薬効』を感じていた、ということなのですが、そういった薬用成分は全く入っていない・・・奇妙なのです!」
「そ、それは・・・あの・・・なんとか効果っていうやつでは?」
私がうろ覚えで言うと、冴守がすかさず「プラシボ効果、ですね?」と言ってくる。
そういうところがね、あなた、モテないんだよ!!
「その線も考えました・・・が、プラセボで5階の窓から飛び降りる膂力を得られるとは思えないのです。足折って、怪我するのが関の山なのです。」
ということは、何らかの『薬効』がある・・・と?
「というわけで、こちらに鑑定依頼が回ってきました。なんらか、呪術的な作用がないか、それを調べられますか?・・・美澄」
あ、そういうこと?
ここで私の名前が出たわけだ。
私がこの時咄嗟に思ったのは「面白そうじゃない!」ということだった。
「わかりました!この日暮美澄・・・ミスリンにお任せあれ!」
こうして、私はこの奇妙な事案の捜査に関わることとなった。
「中には直径が9.3ミリメートル、高さ4ミリメートルほど、色は薄い青と黄色の二種類があるのですが、そういった錠剤様のものが数個残っていました。」
冴守、細かいなあ・・・
「その薬っぽいものなんですが、警視庁の方で調べた結果・・・」
要は怪しい薬、危険ドラッグの類ということなのだろう。それでラリって窓からジャンプ・・・みたいな?
「ただのラムネだったのです」
はい?
ラムネ?
「成分は、果糖、ぶどう糖、食塩、クエン酸、レシチン、乳酸カルシウム、香料としてシトラール、あと、着色料として、タートラジンやブリリアントブルーが少量・・・要は普通のラムネと同じ成分です」
私は化学の知識はあまりないので、冴守が冷静に読み上げる原材料名を聞いてもピンとこない。しかし、まあ、結果はわかる。
要はラムネ以外の何物でもない・・・ということか?
「ただ、これ、怪しいのです。坂本はこの『薬』をしきりに同級生にも試すように言って回っていたというのです。彼女自身は何らかの『薬効』を感じていた、ということなのですが、そういった薬用成分は全く入っていない・・・奇妙なのです!」
「そ、それは・・・あの・・・なんとか効果っていうやつでは?」
私がうろ覚えで言うと、冴守がすかさず「プラシボ効果、ですね?」と言ってくる。
そういうところがね、あなた、モテないんだよ!!
「その線も考えました・・・が、プラセボで5階の窓から飛び降りる膂力を得られるとは思えないのです。足折って、怪我するのが関の山なのです。」
ということは、何らかの『薬効』がある・・・と?
「というわけで、こちらに鑑定依頼が回ってきました。なんらか、呪術的な作用がないか、それを調べられますか?・・・美澄」
あ、そういうこと?
ここで私の名前が出たわけだ。
私がこの時咄嗟に思ったのは「面白そうじゃない!」ということだった。
「わかりました!この日暮美澄・・・ミスリンにお任せあれ!」
こうして、私はこの奇妙な事案の捜査に関わることとなった。

