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天狐あやかし秘譚
第86章 能鷹隠爪(のうよういんそう)
本来は怖がらなきゃいけないのかもしれない。もちろん、私は自身の身体にこんなものを挿れたことなんてなかった。しかし、このときの私は、怖いなどとは微塵も考えなかった。

深く、深く犯してもらえる

ただただその快楽の予感に、ブルリと身体が震えた。男が手慣れた感じで紫のスティックに特製と言われていたローションを塗りたくる。

「こっちからな」

ちゅくちゅくと尻穴の入口をスティックの丸い先がなぞると、指とは違う少し硬い感覚を感じ、それだけでゾワっとする。男性が力を入れると存外簡単に先っぽがお尻の穴を拡げて入り込んでくる。

「あ・・・ああ・・うぅ・・」

先程よりも穴が押し広げられている。硬い物が入ってくる奇妙な感覚。しかし、一旦、先の部分が入ると、するっと中まで押し込まれてしまう。

お・・・奥ぅっ!

指などが届かないほどの奥に異物感を感じる。男が位置を調整しているのかくいくいと何度か動かすたびに、ズン、ズンとお腹の奥に響いてくる。その感覚は膣内の快感に近いものがあった。

「ん?アナルスティックがそんなにお気に入りか?もしかして、アナル開通してんの?」

それがアナルセックスの経験の有無を聞いていることがわかり、私は夢中で首を振る。
「ない・・・ないですぅ・・・」
「へえ、じゃあ、前だけかい」
「そっちも」

声を上げると、男の目がヌラりと光った。

「処女ってわけかい・・・こりゃ・・・ハツモノをいただけるチャンスか」

そう言いながらチャックを下ろす。ぼろんと飛び出した男のシンボルは、私が見たことがないほど大きく膨れ上がり、どくどくと脈打っていた。『赤色』によって全ての性感覚が鋭敏に研ぎ澄まされた私の嗅覚は、そこにむせ返るようなオスの匂いを感じ取っていた。

ああ・・・すごい・・・

アナルを刺激され、くらくらするような先走りの匂いを嗅がされ、私の頭は沸騰していた。目はいきり立ったペニスに釘付けとなり、腰が勝手にピクピクと痙攣するように動いてしまっていた。

「へっへっへ・・・」
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