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天狐あやかし秘譚
第86章 能鷹隠爪(のうよういんそう)
☆☆☆
「おら!とっとと歩け!」

月明かりの中、首輪に紐をつけられ、全裸で肩から上着をかけられただけの姿で、私は歩かされていた。鴻上に歩くように言われるが、思うように身体は動かない。なぜなら、このときの私の姿は、後ろ手に縛られたまま、乳首にはニップルカップ、お尻にはアナルスティック、膣にはバイブレーターを咥えこまされたままだったから。ただでさえ、30分以上この状態でイキ狂わされた上で、それらの淫具の動きは止められていない。その状態で一歩、歩けば、そのたびに振動でまた軽い絶頂に達してしまう。

歩ける・・・わけない・・・

そう思うのだが、逆らうことなどとてもできない。鴻上に言われるがままくいくいと首輪の紐を引かれるがままに歩かされていた。私の前には、同じようにほぼ裸の姿で歩かされている女性たちがいた。その中には、写真で見た坂本愛理の姿もある。

『船に移動する』

そう言っていた。船に乗ってさえしまえば、そのままUAEまでノンストップ、そうも言っていた。

ダメ・・・このままじゃ・・・

そうは思うのだが、何度も、何度も体の奥から突き上げてくる絶頂が、思考を曇らせ、反抗する気力を悉くくじく。何かを考えても、すぐに快楽への欲求がそれを上書きし、セックスのことしか考えられなくなる。

『すぐに、淫らにちんぽを求める性奴隷にしてやるよ』

鴻上が言った通り、私達は、中世の奴隷船に乗せられる性奴よろしく、夜の街を屈辱的な姿で歩かされ続けていたのだった。

助けて・・・誰か・・・たす・・・

そう思っても、私は彼らの思うがままに、愛液を垂れ流しながら、歩くことしかできなかった。
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