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天狐あやかし秘譚
第86章 能鷹隠爪(のうよういんそう)

なので、何の呪的効果がない鴻上の手でも、あっさりと払い除けられてしまう。
「にゃあっ!」
ぼん、と私の座らされているベッドの背後の壁に叩きつけられてしまう。そのままズルリとベッドの上まで滑り落ちる。まだ、諦めていないのか、シャーッと威嚇音を放つが、その声には力がこもっていなかった。
「まだいたのか!この式神!」
鴻上が机の横にあった鉄の棒のようなモノを取り上げる。どうやら船舶の運航に使うなにかの道具のようだ。
「ぶっ殺してやる!」
彼が振り下ろす最初の一撃を、猫神はかろうじて躱した。私は何かをしなくては、とは思っているのだが、やはりぼんやりとしてしまい、体を動かすことは愚か、考えをまとめることすらできなかった。
「ちょこまかと!」
鴻上が鉄棒を振り回す。ちょこちょこと猫神は逃げ続けているが、段々と追い詰められていく。
ああ・・・ニャンコ・・・先生・・・
それでも私には何もできなかった。
「痛っ!」
その時、私の足に鋭い痛みが走った。どうやら、ニャンコ先生が私の太ももを引っ掻いたようだった。それ自体は偶然だと思うが、その痛みが、私の身体を支配する色情霊の支配力を少しだけ弱めた。
急速に意識の糸が束ねられ、結実する。
ぼんやりとしていた景色がはっきりし、これまでの記憶が繋がってくる。
それに伴って、考えも回りだし、私は自分が置かれた立場を理解し始めた。
・・・これ!ま・・・まずい!
最初に思ったのは逃げよう、ということだった。
しかし、ニャンコロードを発動しようにも、外側に猫神がいる保証がない。
戦うにしても、おそらく私の戦闘力ではこの鴻上という術者に敵わない。
猫神自体の戦闘力に賭けるというのも無謀である。
ど・・・どうしたら・・・
「ぶにゃあ!!」
ゴン、という鈍い音がする。どうやら鴻上の鉄棒が、とうとう猫神にヒットしたらしい。ニャンコ先生は腹のあたりに一撃をもらい、無惨に壁に叩きつけられた。そのままコトリと気絶したかのように動かなくなる。
「ちっ!商品に傷つけやがって!」
「にゃあっ!」
ぼん、と私の座らされているベッドの背後の壁に叩きつけられてしまう。そのままズルリとベッドの上まで滑り落ちる。まだ、諦めていないのか、シャーッと威嚇音を放つが、その声には力がこもっていなかった。
「まだいたのか!この式神!」
鴻上が机の横にあった鉄の棒のようなモノを取り上げる。どうやら船舶の運航に使うなにかの道具のようだ。
「ぶっ殺してやる!」
彼が振り下ろす最初の一撃を、猫神はかろうじて躱した。私は何かをしなくては、とは思っているのだが、やはりぼんやりとしてしまい、体を動かすことは愚か、考えをまとめることすらできなかった。
「ちょこまかと!」
鴻上が鉄棒を振り回す。ちょこちょこと猫神は逃げ続けているが、段々と追い詰められていく。
ああ・・・ニャンコ・・・先生・・・
それでも私には何もできなかった。
「痛っ!」
その時、私の足に鋭い痛みが走った。どうやら、ニャンコ先生が私の太ももを引っ掻いたようだった。それ自体は偶然だと思うが、その痛みが、私の身体を支配する色情霊の支配力を少しだけ弱めた。
急速に意識の糸が束ねられ、結実する。
ぼんやりとしていた景色がはっきりし、これまでの記憶が繋がってくる。
それに伴って、考えも回りだし、私は自分が置かれた立場を理解し始めた。
・・・これ!ま・・・まずい!
最初に思ったのは逃げよう、ということだった。
しかし、ニャンコロードを発動しようにも、外側に猫神がいる保証がない。
戦うにしても、おそらく私の戦闘力ではこの鴻上という術者に敵わない。
猫神自体の戦闘力に賭けるというのも無謀である。
ど・・・どうしたら・・・
「ぶにゃあ!!」
ゴン、という鈍い音がする。どうやら鴻上の鉄棒が、とうとう猫神にヒットしたらしい。ニャンコ先生は腹のあたりに一撃をもらい、無惨に壁に叩きつけられた。そのままコトリと気絶したかのように動かなくなる。
「ちっ!商品に傷つけやがって!」

