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天狐あやかし秘譚
第103章 琴瑟相和(きんしつそうわ)
☆☆☆
「世話んなったね・・・綾音」
「うん、お母さんも気をつけて帰ってね」

羽田空港の出発ゲート前。そろそろ15時発の福岡行に乗るためには手荷物検査場に入らなければならない時間だ。

あの『モノ』事件の後は、母に関しての大きなトラブルは起きていなかった。それもそのはず、母の後ろには・・・

『綾音様!母君・・・朱音殿のことは私、地狐・佐那姫におまかせを!!』

ぴょこんと母のスーツケースの後ろからケモミミ、フッさり尻尾の佐那が顔を出す。今はまた、幼児体に戻っているが、これは別に妖力がないからではなかった。

『こちらの姿の方が妖力の節約になることがわかりましたゆえ!』
だそうだ。

母の『結びの巫女』としての力は、佐那姫がうまく中和してくれているらしい。お陰で、機械類を狂わせる魑魅(すだま)の類もまったく近寄ってきていない。

これなら安心して母を送り出すことができるというものだ。

5日間、長いようであっという間だった。ちょっと、ダリや清香ちゃん、芝三郎には不便をかけたけど、やっぱり母に親孝行できたのはとても良かった。

陰陽寮も見せてあげられたし、土御門や瀬良にも挨拶させることができた。母が訪ねていく、という日は、どうやら瀬良が気を利かせてくれたようで、土御門がスーツを着ていたのにはとても驚いた。悪いが、母の後ろに立っていて、笑いを堪えるのが大変だった。

『わいのスーツ姿、貴重やねんで!?
 それをおまはん、あんな顔真っ赤にしよってからに!』

土御門はそんなふうに言っていたが、瀬良も笑っていたのだから仕方がない。これもいい思い出であった。

都庁にも連れて行かれたし、東京タワーにも登らせてあげることができた。
浅草で人力車に乗りたいという母の夢も叶えてあげることができた。

時間が刻々と過ぎていく。積もる話は終わることはなかったが、母が時計を見たことで、もう本当に行かなければいけない時間なのだと悟る。

「そろそろ行かないけんね・・・。綾音・・・風邪引かんごとね・・・ちゃんとご飯は作りよるみたいやし、お部屋も片付いとったのは感心したよ・・・。もう、お母さん、ほんとに、ほんとに良かったっち思うて・・・」

母は、ちょっと涙ぐんでいた。
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