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天狐あやかし秘譚
第104章 【第20話 ヤンデレ】一途一心(いちずいっしん)
☆☆☆
窓の向こうには梅雨時特有の今にも泣き出しそうな重苦しい雲が立ちこめている。ここは、陰陽寮にある占部の事務室だ。いつもは窓辺の大きな机に退屈そうに座っている土門が不在なせいか、今日の事務室はとても静かであり、カタカタとパソコンのキーを叩く音が微かなさざなみのように響いていた。
ちなみに、土門とは、この衆のボスたる『土門杏里』である。実のところ彼女は陰陽寮・陰陽部門で2番目に高い位階である『丞の一位』を頂いており、その実力は折り紙付きなのだが、とにかく落ち着きがなく、騒がしく、かつ、行動が突拍子もないのだ。基本的に黙々とデータに向き合うのが好きな人が多いこの占部の事務室にあって、一人異彩を放っているのが彼女である。
今日、その土門は休暇を取っていた。
なので、室は異常なほど静かだった。
一説では、彼氏ができて、旅行に行っている・・・などと言っている人もいるが、その真偽は定かではないし、真偽を確かめようというモノ好きも占部の部屋にはいなかった。
かく言うこの私、姿明咲(すがた めいさ)も、まさにそんな人間の一人である。
「冴守様、こちら今月分の怪異報告データのマッピングと分析が終了しています。真偽の確定度予測値を含めて、バックデータはいつものフォルダに入れてあります。こちらで報告上げてよろしいでしょうか?」
全国各地で発生している怪異絡みと思われる事件についてのデータを精査し、対応が必要なものか否か、また、それぞれの事件の関連などを機械学習アルゴリズムを使ってマッピングする・・・この仕組みを開発したのは、同じくこの占部切っての秀才、日暮様だ。日暮様ももちろん位階持ちであり、その階級は現在この占部衆の実働部門のトップであることを示す『属の一位』である。
私が今報告を上げたのは、私の直属の上司であるところの冴守様である。ちなみにこの方も位階持ちであり、階級は『属の四位』だ。冴守様は、私の作ったまとめ資料を見て、2〜3の追加指示をしてきた。大した問題ではないので、すぐ修正可能だ。
命じられた資料の修正をしようと自席に戻った時、雨の日の占部の静寂を破るかのように事務室の扉がノックされた。何気なくそちらに目をやると、ひょいと中を覗いてきたのは祭部衆の九条水琉(くじょう みつる)様だった。
窓の向こうには梅雨時特有の今にも泣き出しそうな重苦しい雲が立ちこめている。ここは、陰陽寮にある占部の事務室だ。いつもは窓辺の大きな机に退屈そうに座っている土門が不在なせいか、今日の事務室はとても静かであり、カタカタとパソコンのキーを叩く音が微かなさざなみのように響いていた。
ちなみに、土門とは、この衆のボスたる『土門杏里』である。実のところ彼女は陰陽寮・陰陽部門で2番目に高い位階である『丞の一位』を頂いており、その実力は折り紙付きなのだが、とにかく落ち着きがなく、騒がしく、かつ、行動が突拍子もないのだ。基本的に黙々とデータに向き合うのが好きな人が多いこの占部の事務室にあって、一人異彩を放っているのが彼女である。
今日、その土門は休暇を取っていた。
なので、室は異常なほど静かだった。
一説では、彼氏ができて、旅行に行っている・・・などと言っている人もいるが、その真偽は定かではないし、真偽を確かめようというモノ好きも占部の部屋にはいなかった。
かく言うこの私、姿明咲(すがた めいさ)も、まさにそんな人間の一人である。
「冴守様、こちら今月分の怪異報告データのマッピングと分析が終了しています。真偽の確定度予測値を含めて、バックデータはいつものフォルダに入れてあります。こちらで報告上げてよろしいでしょうか?」
全国各地で発生している怪異絡みと思われる事件についてのデータを精査し、対応が必要なものか否か、また、それぞれの事件の関連などを機械学習アルゴリズムを使ってマッピングする・・・この仕組みを開発したのは、同じくこの占部切っての秀才、日暮様だ。日暮様ももちろん位階持ちであり、その階級は現在この占部衆の実働部門のトップであることを示す『属の一位』である。
私が今報告を上げたのは、私の直属の上司であるところの冴守様である。ちなみにこの方も位階持ちであり、階級は『属の四位』だ。冴守様は、私の作ったまとめ資料を見て、2〜3の追加指示をしてきた。大した問題ではないので、すぐ修正可能だ。
命じられた資料の修正をしようと自席に戻った時、雨の日の占部の静寂を破るかのように事務室の扉がノックされた。何気なくそちらに目をやると、ひょいと中を覗いてきたのは祭部衆の九条水琉(くじょう みつる)様だった。

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