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天狐あやかし秘譚
第12章 鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)
☆☆☆
土御門が警察から捜査権限を引き継いだ後、河西佳苗の部屋には、彼の指示で祭部衆(まつりべしゅう)が張り付いていた。

祭部衆とは、宮内庁陰陽寮の中でも特に祭祀や結界を得意とする術者の所属する部署である。ここに属する最高位階の術者は『丞の三位』である大鹿島雪影(おおかしま ゆきえ)といった。

そして、今日ここに張り付いているのは、この大鹿島の腹心である敷島明日香(しきしま あすか)という陰陽師であった。

敷島が暗い部屋の中、床に座し、静かに呪言を唱えていた。

「元帥霊泉、四季三界、陰陽二神、陰気祓い、邪を駆逐せよ、四柱の神を奉り、鬼道霊光四方に砕けよ、北斗七星辰ここに鎮まりて、慎みてその名、五陽中位龍王の守護を願い奉る」

リン・・・・

病室の四隅に立てられた竹の柱の間に麻糸が張られている。そして、その麻紐が形作る正方形の各辺の中央に当たる部分には金属の符が吊られていた。敷島が手に持った鈴をひとつ鳴らすと、共鳴するかのように金属符が震える。

呪言を唱えては鈴を鳴らす、鈴を鳴らしては呪言を唱える。
こうして、彼女は休むことなく河西の周囲に結界を張り続けた。

この結界の目的のひとつは、もちろん、女怪から河西を守るためだった。ただ、もうひとつの目的もあった。
そっちの目的に、この結界が使われることがないといいなと敷島は思っていた。

何度目、何十回目かの呪言を唱えた時、不意にベッドの上の河西が苦しみ悶え始めた。喉をかきむしり、目を見開く。その目は本来白目であるところが黒くなり、黒目に当たるところが赤く光っている。

変調だ・・・。

敷島が呪言に更に力を込める。
仕方がない。速やかに、2つ目の目的が作動することになる。

敷島は呪言を変化させる。結界の種類を変えたのだ。

「元帥霊泉、四季三界、陰陽二神、邪を封じよ、北斗七星辰、泰山府君、刻み刻みて、鬼道霊光微塵に切って放つ、龍気、剣戟、四柱神の御力、ここに切って候」

りん・・・りん・・・

金符が青く燐光を放つ。鈴の音は霊力となり、金属符がそれに共鳴する。そして、音波に乗った霊力が干渉現象を起こし、河西佳苗に向かって最大の出力で収束する。
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