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天狐あやかし秘譚
第13章 幽愁暗恨(ゆうしゅうあんこん)
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【幽愁暗恨】 人知れぬ深い憂いや恨み。
深い恨み、言わないと癒やされないけど、言えたら苦労しないよ、みたいな。
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綾音達が土御門とカフェで話しているのと同じ頃。
場所は、東京都豊島区池袋。

「この先、左です。早く」
敷島が助手席で指示を飛ばす。その指示に無言で運転席の黒服の男性が従う。黒服は自分よりも歳上だが、まだ陰陽生(おんみょうしょう)であった。陰陽生とは、陰陽師や陰陽博士を補佐する役割につく、いわば見習いである。黒服は、名を佐久間広景(さくま ひろかげ)といった。

敷島は手元のスマートフォンに送られてくる地図アプリ上の位置情報を見ている。位置情報は刻々と変化している。

ここに表示されている情報は、陰陽寮でも占いや探索に特化した部署である占部衆(うらべしゅう)から時々刻々と送られてくるものだ。おそらくそこの長である土門杏理(どもん あんり)の式占盤占術によって占われた結果をもとにしているのだろう。

敷島は佐久間に指示を出しながら、頭の中で女怪について知っていることを整理する。
女怪とは女の恨みが凝集して妖怪化したものだ。普通は死魂が女怪となるのだが、河西佳苗はまだ生きている。もし、河西が女怪になりかかっているのだとすれば、それは生霊が元になっているということだ。生霊が変化した女怪は、古来から強力なものになると相場が決まっている。

自分が結界で押さえきれなかったから・・・。
責任を感じる。

佳苗が向かう先はおそらく恨みを持った相手。まだ取り調べが済んでいない以上、動機から彼女の行き先を推定し、先回りすることができない。ぴょんぴょんと屋根から屋根へ高速移動する彼女を捉えるには、こうして地道に占術で追跡し、対象を襲う直前、足を止めた瞬間を狙って捕らえるよりほかない。

もし、彼女が対象を殺めてしまったら・・・。

そのときは、もう人間に戻ることはできなくなる。完全に厭魅妖怪に堕ち、調伏するしか鎮める方法はない。
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