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天狐あやかし秘譚
第13章 幽愁暗恨(ゆうしゅうあんこん)
お願い・・・間に合って。あなたが、まだ、人である内に!

「敷島さん!次の角は!?」
「まっすぐ!」

いや・・・左か?
今しがた前方にあった佳苗を示す光点が、左方に移っていた。

「ごめん、左!」
「え?もう通り過ぎちゃったっす!少し行って左に・・・」

いや違う、違う違う!!

スマホ上に展開する光景に息を呑む。
違う!正面の点が左に移ったんじゃない。増えたのだ。

見る間に画面上の自分らの現在地を示す赤い点の右上、左後方、前方、右、後ろ・・・妖魅の出現を表す光点が増えていく。

無数に・・・まるで湧き出てくる雲霞のように。

「何が起こってるの!?」
「敷島さん!?前!」

佐久間の叫び声に顔をあげると、前方に人影が飛び出して来るのが見えた。黒い影、顔が崩れ、汚れたワンピースを纏った、この世のものではない女性・・・。

女怪!?

「あぶねえ!」
佐久間がハンドルを右に切った。同時にブレーキを踏むが間に合わない。ガードレールに衝突する。

「いたたた・・・」
突然のことに敷島はダッシュボードに頭をぶつけてしまった。大丈夫っすかと佐久間が声をかける。

車からなんとか這い出し、周囲を見ると・・・。
「!?」
そこかしこの暗闇から、影から、のそり、のそりと黒い影が立ち上がる。顔が崩れ、腕がもげかけ、足を引きずり、乳房をはだけ、それらはフラフラと自らの怨嗟を晴らすために歩き始める。

「敷島さん・・・これって・・・」
「まずいわ・・・佐久間くん、本部に連絡!それから・・・大鹿島様を呼んで!女怪が・・・溢れてしまう!」

そう佐久間に告げると、敷島は自分のリュックをひっつかんで、目の前にある一番高いビルに飛び込んだ。エレベーターに乗って屋上に。高いところ、とにかく高いところに行かなければ。

なんでかわからないけど女怪が溢れている。女怪は陰気の塊。通常の人間が遭遇すればその気に侵され、病気になってしまうし、下手したら死ぬ可能性すらある。ちょっと霊感の強い人ならその姿が見え、もっと強く影響を受ける。

とにかく、陰気を鎮め、人々を守らなくては。
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