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天狐あやかし秘譚
第14章 暗雲低迷(あんうんていめい)
ダリが、ちらっと私の方を見る。ああ、そうか、私を心配して?
「ダリ・・・。清香ちゃんが助けようとした人なの。だから、私も助けたい・・・。お願い、河西佳苗さんを、助けて・・・。」

河西さんは妖怪になりかかっていると言っていた。それは私に清香ちゃんが狂骨に取り込まれたときのことを思い起こさせる。
あの時、御九里は言っていた。『人間業じゃ、取り込まれれた清香ちゃんを助けるのは無理だ』と。でも、ダリはいともたやすく助けてみせた。

今回も同じかもしれない。ダリがいないと、土御門だけでは、倒すことはできても、助けることはできないかもしれない。だから・・・

「お願い」

私はダリに頭を下げる。その私の頭にふわっとダリが手を載せた。
「それが・・・主の願いなら」

そう、いつもそうやってダリは私の願いを聞いてくれる。
だから、頼ってしまう。

頭に載せられた手がすっと顎にかかる。そのままクイッと顔をあげられる。

ん?

そのままダリの顔が迫ってくる。
え?キス・・・するつもり!?
カッと顔が赤くなる。だって、そんな、脈絡なく、ムードもなく、しかも人前でって!?

思わずボンと両手で突き放してしまう。
「ん?嫌か?」
ダリがさも心外という顔で見てくる。
何考えてんのよ、この空気、この状況で!

「何、イチャイチャしてんねん。早よいこーよ・・・」
土御門が大太刀を肩に乗せ呆れたように見ている。

そ・・・そうよ!早く行きなさいよ!

なんとなく、不服そうな表情でダリは土御門と一緒に結界の中に消えていった。
「まま・・・ぱぱにちゅ~してあげればいいのに」
清香ちゃんがクイクイっと私の洋服の裾を引っ張る。
いや、そんな、会社に行く旦那に玄関でちゅ~するわけじゃあるまいし・・・。

「さあ、とにかく、少し結界から離れましょう。ここも安全とは限りませんから」
瀬良が事務的に私達を車内に誘導するので、慌てて清香ちゃんと芝三郎を連れて車に乗る。

後ろを振り返る。大きな大きな結界・・・。中がどんなになっているかうかがい知ることができない。初めて見るからだろうか、この結界そのものが酷く禍々しいもののように感じる。

「大丈夫だよね?ダリ・・・」

だって、ダリは、強いから。
そう思ったのだが、何故か、この時、私の胸にざわりとした胸騒ぎがよぎっていた。
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