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天狐あやかし秘譚
第14章 暗雲低迷(あんうんていめい)
☆☆☆
「何あれ!?」

女怪になりかけている河西佳苗がいるとされている地域に向かう途中、警察官が敷いている検問を抜ける。私達の眼前に、異様な光景が広がっていた。目の前に薄くて黒い膜のようなものが見える。その幕はかなり広い範囲を覆っているように見えた。

街が・・・球状の何かで覆われている?

「結界だな。何かを外に出さないようにしているみたいだ」
膝の上の狐がチラと見て言う。その状態でも、喋れるんだ・・・ダリ・・・。
「多分、敷島さんです!」

運転をしている瀬良さんが叫ぶ。アクセルを吹かし、スピードを上げる。土御門によると、宮内庁からの依頼により、警視庁があの結界の周囲に交通規制を張ってくれているとのことだった。お陰で他に走る車もおらず、走りやすい。

「もうすぐつきます」
カーブを速度をさほど落とさずに曲がったせいで、ギュルギュルとタイヤがアスファルトを削る音がする。思いっきりGがかかり、清香ちゃんが悲鳴を上げる。

結界の際まで来たところで瀬良がブレーキを思いっきり踏む。ギャギャギャ!と軋んだ音を立て、車が結界の縁ギリギリに停まった。

「こっからは危険が、ぎょうさんやし。浦原さんたちはここで待っとってや」
土御門が降りる。
ダリも私の膝の上からぴょんと降りて狐神モードに変化する。
「瀬良ちゃん、浦原さんたち、守ったって」
いつの間にか、片手に大きな太刀を持った土御門が瀬良にヘラっとした調子で言った。瀬良も心得たもので、「はい」と小さく答え、私達の前に出た。

「ほな、天狐様、一緒に行こか」
土御門が結界に向けて歩き始めるが、ダリはその場を動かずに、微妙に片眉を上げる。
「なぜ、我も行かねばならん?主で事足りよう」
がくっと土御門がわざとらしくずっこけて見せる。
「そないなツレナイこと言いなや・・・一緒に行こうや。だって怖いやん」
絶対本気ではないセリフだ。ヘラヘラしてて、どこまで真面目に言ってるのかイマイチ本音が分かりにくい人だ。
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