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天狐あやかし秘譚
第14章 暗雲低迷(あんうんていめい)
☆☆☆
この世の存在は常に陰陽二つの気をその身に宿している。どちらかだけの存在というのは極めて不安定であり、また、不自然なのである。つまりはバランスが大事なわけだ。
そして、陽の中にも必ず陰があり、陰の中にも必ず陽がある、といった具合に、それらは純粋に単体で引き離すことはできないものなのだ。

ただ、何事にも極端な例というのが存在する。
例えば、神。陽神と言われるものは極端な陽の気を持つものである。
対して、妖怪とか厭魅と言われるものは、陰の気が極端に充実した存在なのだ。

人間も陰陽双方の気を内に備えており、そのバランスが取れている状態がいわゆる「健康」と言われている。バランスが崩れれば身体や精神に変調が起きる。

ここからは一般論だが、女性は陰気に偏りやすく、陰気を扱いやすい性質がある。男性は陽気に偏りやすく、陽気を扱いやすい。

これは霊と化した際も同じである。なので、女性の霊は陰気をまといやすく、その精神は深い恨みと呑み込みたいという衝動に支配されやすい。そして、女性は、その性質上『殖える』特質を有する。

何らかのきっかけで、女性の陰陽の気が陰に極端に偏った存在、それが『女怪』だ。女怪は陰気の性質、すなわち、悔恨、同化、そして、生殖の性質を有するのである。

つまり、この厭魅は人々の怨念を掻き立て、怨嗟を取り込み、同じ性質のものを増やそうとする。恨みを持った者を取り込み、仲間に引き入れていく。

この『女怪』が今回の一連の連続女性自殺事件の背景に絡んでいるとわかったのは、つい最近、一週間ほど前のことだった。

何人もの女性が大した動機もないままに自殺し、その後、関係している男性が呪われたように死ぬ。この一連の事件はその異様さから、警察内部でも特殊な犯罪を捜査する係が捜査指揮を執っていた。そして、彼らが現実面の捜査をする傍ら、国家の呪的保護を目的とする宮内庁陰陽寮も動き始めていた。
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