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天狐あやかし秘譚
第124章 二転三転(にてんさんてん)
今回の陰陽寮の任務は、敵方に不用意な結界を張られないようにすること、そして、現在、鞍馬山にいることが分かっている沖津鏡と八握剣の使い手であるスクセと、辺津鏡の使い手であるキヌギヌ以外の術者の介入を防ぐこと、そして最後には万が一、天狐ダリが追い詰められることがあった場合は精鋭を派遣し、支援もしくは救助に当たることだった。
ちなみに最後の救援などについては、ダリには伏せられていた。天狐のプライドに配慮してのことである。
確かに『危なくなったら助けに行くからね♪』とか言ったところで、『そのような心配をされるほど我は弱くない』と言うに決まっている。
時刻はダリが突入すると決めた頃合いに差し掛かっていた。本陣の中央、司令部に当たるテントにちょこんと座った私はテントの合間から垣間見える暗く沈んだ鞍馬山を見つめていた。
「烏丸様、そろそろ天狐が山に入ります。現時点では他の術者などの存在は感知されていません」
この本陣における副司令の役割を担う事となっている御池が烏丸に報告を上げていた。
「分かった・・・。引き続き警戒を」
そう答えた烏丸も私と同様に山の方に視線をやる。
そこには未明の闇に染まる鞍馬山が静かに佇んでいた。
「そろそろ私は、占術での戦況モニタリングの準備に入ります。」
「分かった。頼む」
御池は烏丸に向かって頷くと、こちらを振り返る。今日の御池はいつものユニセックスファッションではなく、陰陽師が祭事の際に身につける正装である狩衣に烏帽子姿であった。狩衣の色は白に近く、それが御池の透けるような肌と長い黒髪のコントラストを一層際立たせていた。
よく見ると手首も細いし、指もスラッとしている。男性の指だったらもう少し節くれだっていてもいいのでは?と思う。
最初は男だと思っていたが、この格好を見ると、白拍子・・・つまりは男装をしている女性にも見える。・・・もしかして御池さんは女の人なのだろうか?
「綾音さんもこちらでご覧になりますか?」
その御池に声をかけられて、ぼんやり彼女(彼?)を見つめていた私はハッとして我に返った。
「見るって?」
私が尋ねると、御池がテントの奥に据えられた祭壇のようなところに私を招いてくれた。そこには直径50センチほどの石でできた鉢のようなものが木の台座の上に据えられており、そこにはきれいな水が湛えられていた。
ちなみに最後の救援などについては、ダリには伏せられていた。天狐のプライドに配慮してのことである。
確かに『危なくなったら助けに行くからね♪』とか言ったところで、『そのような心配をされるほど我は弱くない』と言うに決まっている。
時刻はダリが突入すると決めた頃合いに差し掛かっていた。本陣の中央、司令部に当たるテントにちょこんと座った私はテントの合間から垣間見える暗く沈んだ鞍馬山を見つめていた。
「烏丸様、そろそろ天狐が山に入ります。現時点では他の術者などの存在は感知されていません」
この本陣における副司令の役割を担う事となっている御池が烏丸に報告を上げていた。
「分かった・・・。引き続き警戒を」
そう答えた烏丸も私と同様に山の方に視線をやる。
そこには未明の闇に染まる鞍馬山が静かに佇んでいた。
「そろそろ私は、占術での戦況モニタリングの準備に入ります。」
「分かった。頼む」
御池は烏丸に向かって頷くと、こちらを振り返る。今日の御池はいつものユニセックスファッションではなく、陰陽師が祭事の際に身につける正装である狩衣に烏帽子姿であった。狩衣の色は白に近く、それが御池の透けるような肌と長い黒髪のコントラストを一層際立たせていた。
よく見ると手首も細いし、指もスラッとしている。男性の指だったらもう少し節くれだっていてもいいのでは?と思う。
最初は男だと思っていたが、この格好を見ると、白拍子・・・つまりは男装をしている女性にも見える。・・・もしかして御池さんは女の人なのだろうか?
「綾音さんもこちらでご覧になりますか?」
その御池に声をかけられて、ぼんやり彼女(彼?)を見つめていた私はハッとして我に返った。
「見るって?」
私が尋ねると、御池がテントの奥に据えられた祭壇のようなところに私を招いてくれた。そこには直径50センチほどの石でできた鉢のようなものが木の台座の上に据えられており、そこにはきれいな水が湛えられていた。

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