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天狐あやかし秘譚
第124章 二転三転(にてんさんてん)
それが烏丸がこの場に勧請した式神・・・いや、烏丸家の守り神の名だった。かつて飛鳥の世に雄略天皇の前に姿を現したという、まごうことなき日本の神・・・。
まずい!!!
オキナが思ったときは遅かった。
その時、森の木々は息を呑み、夜の闇すら沈黙する。
そして、ソレは厳かに言霊を紡ぐ。
「往ね」
その言霊に乗って、音のない光だけが周囲に爆発的に広がる。あらゆる妖魔がその光に押しつぶされ、焼き払われていく。全ての不浄な存在が、その言葉通り、またたく間にあるべき世界、『鬼界』に追いやられていく。
そして、オキナ自身も例外ではなかった。
「ぐはぁっ!!!」
己を弾き飛ばそうとする凄まじい光の圧に襲われる。もしこの時点で、足玉と道返玉を同時発動していなければ、あっという間にオキナ自身もまた、どこと知れない世界・・・三界の果てまで吹き飛ばされていただろう。
ちく・・・しょう・・・っ!!!
両の手が千切れそうだった。神宝の力は無限の力。100%解き放てれば例え相手が神だろうが単純な力押しだけで負けるわけがない。しかし、使ってるのはオキナという人間だ。オキナの身体が神宝の出力に悲鳴を上げていた。
くそおぉおおおおっ!!!
ここで、ただここで敗走するなど・・・
脳裏に緋紅の顔が浮かぶ。こちらの失態を嘲笑うそれが現実になることはオキナのプライドが許さなかった。
ならばせめて!!!
ギギギと無理やりに首を曲げる。その視線の先には御池のそばで耳を塞いでいる綾音がいた。
お前だけでも殺してやる!
左手の道返玉に力を込め瘴気の刃を発生させる。
切り刻め!
綾音が空を裂く瘴気の刃の気配に気づき、目を見張る。しかし、先程からの多量の霊力、そして瘴気の奔流にその身はすくみ、身動きをすることはできないようだった。
隣の御池もまた、オキナの動きに気づき、綾音をかばおうとした様子だが一歩遅かった。彼女が立ちふさがるより先に、オキナの放った黒い刃が綾音の身体を十字に切り裂いていた。
はは・・・ざまあみろ・・・
緋紅の悔しがる顔が目に浮かぶわい。
そう思いながらも、限界を迎えたオキナは最後の力を振り絞って道返玉で道を開き、その中に身をねじ込んだ。
「綾音さん!!!」
後には、御池の絶望したような声だけが未明の森に響き渡っていた。
まずい!!!
オキナが思ったときは遅かった。
その時、森の木々は息を呑み、夜の闇すら沈黙する。
そして、ソレは厳かに言霊を紡ぐ。
「往ね」
その言霊に乗って、音のない光だけが周囲に爆発的に広がる。あらゆる妖魔がその光に押しつぶされ、焼き払われていく。全ての不浄な存在が、その言葉通り、またたく間にあるべき世界、『鬼界』に追いやられていく。
そして、オキナ自身も例外ではなかった。
「ぐはぁっ!!!」
己を弾き飛ばそうとする凄まじい光の圧に襲われる。もしこの時点で、足玉と道返玉を同時発動していなければ、あっという間にオキナ自身もまた、どこと知れない世界・・・三界の果てまで吹き飛ばされていただろう。
ちく・・・しょう・・・っ!!!
両の手が千切れそうだった。神宝の力は無限の力。100%解き放てれば例え相手が神だろうが単純な力押しだけで負けるわけがない。しかし、使ってるのはオキナという人間だ。オキナの身体が神宝の出力に悲鳴を上げていた。
くそおぉおおおおっ!!!
ここで、ただここで敗走するなど・・・
脳裏に緋紅の顔が浮かぶ。こちらの失態を嘲笑うそれが現実になることはオキナのプライドが許さなかった。
ならばせめて!!!
ギギギと無理やりに首を曲げる。その視線の先には御池のそばで耳を塞いでいる綾音がいた。
お前だけでも殺してやる!
左手の道返玉に力を込め瘴気の刃を発生させる。
切り刻め!
綾音が空を裂く瘴気の刃の気配に気づき、目を見張る。しかし、先程からの多量の霊力、そして瘴気の奔流にその身はすくみ、身動きをすることはできないようだった。
隣の御池もまた、オキナの動きに気づき、綾音をかばおうとした様子だが一歩遅かった。彼女が立ちふさがるより先に、オキナの放った黒い刃が綾音の身体を十字に切り裂いていた。
はは・・・ざまあみろ・・・
緋紅の悔しがる顔が目に浮かぶわい。
そう思いながらも、限界を迎えたオキナは最後の力を振り絞って道返玉で道を開き、その中に身をねじ込んだ。
「綾音さん!!!」
後には、御池の絶望したような声だけが未明の森に響き渡っていた。

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