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天狐あやかし秘譚
第124章 二転三転(にてんさんてん)
直感的としか言いようのない動きだった。鍵岡は意味もわからずに右手に身体を倒し、地面に転がっていた。その瞬間、先程まで鍵岡の上半身があったところを高濃度の瘴気の刃がゴウと音を立てて過ぎていくのを見た。
なんだ!?
慌てて先ほどまでオキナが立っていた場所に目を向けると、ほぼ胴体がちぎれかけ、下半身に対して90度の角度でブラブラと上半身が揺れているにも関わらず、顔には満面の笑みを浮かべたまま鍵岡の方を見ている彼女の姿が目に映る。
死んでない!?
「やだなあ・・・そんな怖い技、ボクに使わないでよ・・・ふふふふふ」
歪んだ三日月のような笑みを湛え、オキナがゆっくりと鍵岡の方に手を伸ばしてきた。
『第二波が来る!』・・・そう思ったがすぐに立ち上がり避けることはできない。
「ガハッ」
だが、第二波が来る前にオキナの顔が横から投げられた槍に貫かれる。どうやら祓衆の誰かがオキナへの攻撃に成功したようだった。
「鍵岡!」
もう一度、声をかけられ、慌てて立ち上がった鍵岡は、一目散に本陣に引き上げる。その間にもオキナは自身の顔に突き刺さった槍を無造作に引き抜き、くるりとこちらに振り返る。ちぎれかけた胴はみちみちと音を立てて再生を始め、ものの数秒でもとに戻ってしまった。
「ひどいなあ・・・この服結構気に入ってたのに」
再び瘴気が盛り上がり、戦況はあっという間に押し戻される。妖魔たちは天に、地に満ち、術者たるオキナは必殺の術式を食らってもなお、平然と立っている。このとき、鍵岡たちは知る由もないのだが、オキナが身体に食らったダメージを即回復できたのはほかでもない、瞬時の自動完全回復をしてのける神宝・足玉の力だったのだ。
そう、オキナはこの時点で、神宝を二つ有してここに臨んでいたのだ。
「大丈夫か?鍵岡」
同僚の祓衆の陰陽師が寄ってくる。剣を使う金気の術者、左慈京良(さじきょうら)だった。
「ああ・・・しかし、あいつ・・・」
ゴクリと鍵岡は生唾を飲み込んでいた。それは恐怖と言って差し支えない感情に由来していた。先程の攻防で、この場にいる陰陽師の誰もが理解しただろうことがある。
オキナは不死身、そして、瘴気も尽きることがない。
この事実が、その場の陰陽師たちに与えた動揺は激しかった。
じわりと、戦況は悪い方向に傾いているのが肌で分かる。
なんだ!?
慌てて先ほどまでオキナが立っていた場所に目を向けると、ほぼ胴体がちぎれかけ、下半身に対して90度の角度でブラブラと上半身が揺れているにも関わらず、顔には満面の笑みを浮かべたまま鍵岡の方を見ている彼女の姿が目に映る。
死んでない!?
「やだなあ・・・そんな怖い技、ボクに使わないでよ・・・ふふふふふ」
歪んだ三日月のような笑みを湛え、オキナがゆっくりと鍵岡の方に手を伸ばしてきた。
『第二波が来る!』・・・そう思ったがすぐに立ち上がり避けることはできない。
「ガハッ」
だが、第二波が来る前にオキナの顔が横から投げられた槍に貫かれる。どうやら祓衆の誰かがオキナへの攻撃に成功したようだった。
「鍵岡!」
もう一度、声をかけられ、慌てて立ち上がった鍵岡は、一目散に本陣に引き上げる。その間にもオキナは自身の顔に突き刺さった槍を無造作に引き抜き、くるりとこちらに振り返る。ちぎれかけた胴はみちみちと音を立てて再生を始め、ものの数秒でもとに戻ってしまった。
「ひどいなあ・・・この服結構気に入ってたのに」
再び瘴気が盛り上がり、戦況はあっという間に押し戻される。妖魔たちは天に、地に満ち、術者たるオキナは必殺の術式を食らってもなお、平然と立っている。このとき、鍵岡たちは知る由もないのだが、オキナが身体に食らったダメージを即回復できたのはほかでもない、瞬時の自動完全回復をしてのける神宝・足玉の力だったのだ。
そう、オキナはこの時点で、神宝を二つ有してここに臨んでいたのだ。
「大丈夫か?鍵岡」
同僚の祓衆の陰陽師が寄ってくる。剣を使う金気の術者、左慈京良(さじきょうら)だった。
「ああ・・・しかし、あいつ・・・」
ゴクリと鍵岡は生唾を飲み込んでいた。それは恐怖と言って差し支えない感情に由来していた。先程の攻防で、この場にいる陰陽師の誰もが理解しただろうことがある。
オキナは不死身、そして、瘴気も尽きることがない。
この事実が、その場の陰陽師たちに与えた動揺は激しかった。
じわりと、戦況は悪い方向に傾いているのが肌で分かる。

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