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天狐あやかし秘譚
第124章 二転三転(にてんさんてん)
鍵岡の地元は東北である。本来は東北支部に務めるのがもっとも家から近い。家には妻もいる。子もいる。さっさとそちらに異動しておけばよかったという思いが一瞬頭をよぎる。
それでも負けられねえよなぁ・・・おい。
しかし、鍵岡は敢えて京都を選んでいたのだ。
自らの術式の更なる進化のために。
自身を育ててくれた、鍵岡家の祖先たちに報いるために。
何より、妻を、子を守れる男になるために!
「計都 万象 豹尾神よ在れ 坎を塞ぎ 不浄を断て!」
ガチンと左右に嵌めた鉄拳同士をぶつけ合わせる。瞬間、双拳に刻まれた呪紋が紅く輝き、蒼炎の術式が発動する。
蒼炎が鍵岡の両の手を覆い尽くし、そのさまは闇夜に舞う蒼い鳳凰の様相を呈す。蒼炎の術を最大限まで高め、己の身体にまとわせ身体能力を高めて戦う奥義だった。
「蒼蓮炎舞(そうれんえんぶ)!」
右手を打ち払うようにするだけで、伸びた拳がカラスを焼き払い、左手から襲い来る大男の拳を左手で受け止めてみせた。そのまま大男まで燃え広がった蒼炎が妖魔を芯から焼き尽くす。一旦後ろに飛び跳ね炎の龍をやり過ごすと、両の手を突き出すと、炎の龍と猿の妖魔を同時にその燃える双拳で貫いた。
妖魔の纏う炎すら灼き尽くす焔(ほむら)
これこそが蒼炎操呪の真骨頂であり、この蒼蓮炎舞は鍵岡が、ここ京都で自ら編み出した秘奥義なのだった。
このまま・・・いけるか!?
術式のおかげで脚力も増している。このまま幾重に連なる妖魔を全て薙ぎ払い、術者の首を取ればこの騒ぎを納めることができる!
「その首!もらったっ!!」
焔の双手を翼のように広げ、次々と襲いかかる妖魔を蹴散らし、鍵岡は一直線にオキナを目指した。後、2メートルほど。
オキナはニヤニヤとしたゆとりのある表情でそこにいた。逃げる様子も見せない。
死ねっ!
疾風のように蒼炎が森を駆け抜け、確かに右手に纏った退魔の焔はオキナの胴を横薙ぎにした。
殺った・・・
鍵岡は確かな手応えを感じていた。自らが纏った焔が、オキナの胴を焼く音、匂い、そして何より感触を確かに感じていた。
「鍵岡さんっ!!!」
だが、背後から御池の、まるで断末魔の叫びのような声が聞こえた。その時、背筋にゾクリとした悪寒が走る。
それでも負けられねえよなぁ・・・おい。
しかし、鍵岡は敢えて京都を選んでいたのだ。
自らの術式の更なる進化のために。
自身を育ててくれた、鍵岡家の祖先たちに報いるために。
何より、妻を、子を守れる男になるために!
「計都 万象 豹尾神よ在れ 坎を塞ぎ 不浄を断て!」
ガチンと左右に嵌めた鉄拳同士をぶつけ合わせる。瞬間、双拳に刻まれた呪紋が紅く輝き、蒼炎の術式が発動する。
蒼炎が鍵岡の両の手を覆い尽くし、そのさまは闇夜に舞う蒼い鳳凰の様相を呈す。蒼炎の術を最大限まで高め、己の身体にまとわせ身体能力を高めて戦う奥義だった。
「蒼蓮炎舞(そうれんえんぶ)!」
右手を打ち払うようにするだけで、伸びた拳がカラスを焼き払い、左手から襲い来る大男の拳を左手で受け止めてみせた。そのまま大男まで燃え広がった蒼炎が妖魔を芯から焼き尽くす。一旦後ろに飛び跳ね炎の龍をやり過ごすと、両の手を突き出すと、炎の龍と猿の妖魔を同時にその燃える双拳で貫いた。
妖魔の纏う炎すら灼き尽くす焔(ほむら)
これこそが蒼炎操呪の真骨頂であり、この蒼蓮炎舞は鍵岡が、ここ京都で自ら編み出した秘奥義なのだった。
このまま・・・いけるか!?
術式のおかげで脚力も増している。このまま幾重に連なる妖魔を全て薙ぎ払い、術者の首を取ればこの騒ぎを納めることができる!
「その首!もらったっ!!」
焔の双手を翼のように広げ、次々と襲いかかる妖魔を蹴散らし、鍵岡は一直線にオキナを目指した。後、2メートルほど。
オキナはニヤニヤとしたゆとりのある表情でそこにいた。逃げる様子も見せない。
死ねっ!
疾風のように蒼炎が森を駆け抜け、確かに右手に纏った退魔の焔はオキナの胴を横薙ぎにした。
殺った・・・
鍵岡は確かな手応えを感じていた。自らが纏った焔が、オキナの胴を焼く音、匂い、そして何より感触を確かに感じていた。
「鍵岡さんっ!!!」
だが、背後から御池の、まるで断末魔の叫びのような声が聞こえた。その時、背筋にゾクリとした悪寒が走る。

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